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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
89/164

第89話「反面、教師」

「まったく、面倒くさいやら、腹立たしいやら。あれっ。ライターは、どこへやったか」

「使うか、委員長?」

「おおきにって、どわっ。どっから湧いてきたんや?」

「他人を、ボウフラか幽霊みたいに言うもんやないで。駐車場から、この校舎で、煙が立ってるのが見えてな」

「意外と鋭いんですね、大石先生」

「阿呆と煙は、高いところにのぼりたがるって言うからな。授業は、どないしたんや?」

「これが、サボり以外の何かに見えますか? そういう先生は、空き時間なんですか?」

「文系の三年は、昨年度いっぱいで、あらかたのことを教えとるから、前に立って解説する必要はないんや。自習課題も、出してあるし」

「気ままでええよなぁ、先生は」

「そうでもないんやで、これが。火ぃ貸すから、一本貰えへんやろうか?」

「ええですよ。でも、先生。こういう時は、普通は、箱ごと取り上げて、説教の一つでもするものと違います?」

「そうして欲しいんやったら、そうすることもできるで? 僕は、気が進まんけどなぁ」

「どっちもメリットがないから、やめませんか?」

「そうやな。ふぅー」

「でも、先生?」

「何や?」

「今の、この状況。ミイラ取りがミイラになってるようにしか、思えないんですけどねぇ」

「それは、第三者から見た時の話やろう? ここには今、二人しか居らんねんから、気にせんでええやないか」

「詭弁じみてますね」

「詭弁でも、海苔弁でも構わへん。好きに消化したらええ。今回は、犯行初認知やから、見逃すけれども、次、見掛けたら、杭瀬先生に報告するで。煙草は、ほどほどで止めときや。せやないと、僕みたいな大人になるからな」

「それは、困りますね」

「そうやろう、そうやろう。こうなったら、おしまいやで。ほな、僕は職員室に戻るし、自分も、落ち着いたら三組に戻りや」

「……無意識でやってるのんか、分かって演じてるのんかは知らんけど、それほど無責任ではないかもしれへんな。掴みどころがない分、油断できへん。校内で吸うのは、控えるか」

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