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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
68/164

第68話「旗振り」

「選挙権が、十八歳に引き下げになったね、東野くん」

「あぁ。一ヶ月もしたら、俺宛てにハガキが来てもおかしくない訳か」

「五月生まれやもんね、春樹くん」

「僕は、まだ来年だけど、高校生のうちから、政治に興味関心を持つように、って杭瀬先生も言ってたよね」

「古狸は、社会の教員やからな。自分の授業に、意欲を出して欲しいんやろう」

「それもあるやろうけど、自分の頭で考える力が大事なのは、確かなんと違うかな」

「ある意味、今の日本の国会の様子は、反面教師になるよね」

「その場しのぎの、姑息な言い逃れやら、他人の話を平気で遮って、野次を飛ばす議員やら。幼児以下のマナーで運営されるような、内閣ではなぁ」

「小手先のテクニックを弄したって、最後には、馬脚を現す結果になるもんね」

「正々堂々、フェアに行うことが、長い目で見たときに大事になってくるよね」

「本質に迫らず、枝葉末節に拘泥し、多岐亡羊」

「ほんまにね。でも、何で、あんなに退屈な議論になるんやろうね?」

「机を前にして座るから、すぐに立ち上がれないんだよね」

「分厚い書類を用意するから、話し手に集中せぇへんし」

「会話をするんやったら、ホームルームの時みたいに、黒板を前にして、椅子だけをコの字型に並べたらええんよ」

「自然と黒板に集中するし、みんなの顔が見えるし」

「すぐに立ち歩けるから、意見を書きやすいしな」

「それから、一から十まで準備してから始めようと考えとったら、いつまで経っても、本番に移行できへんよね」

「大枠を決めたら、すぐに行動しないとね」

「ほんで、あかんと分かったら、すぐに引き上げへんとな」

「簡単なことやのに、どうして誰も気が付かへんのやろう?」

「きっと、このままではいけないって、誰も本気で考えていないから、変わらないんじゃないかな?」

「何か問題があるんやないか、と考えへん上に」

「自分には、何も問題がなくて、全部相手が悪い、としか考えられへんのやったら」

「手遅れだね」

「処置無しやな」

「そうでないことを、祈りたいわぁ」

「対象年齢は、下がっても」

「マナーは、向上して欲しいところやな」

「赤、上げて」

「白、下げて」

「白、上げないで、赤、下げない」


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