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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
65/164

第65話「雨降って」

「あれ。ここに入れてたと思うてたんやけどなぁ。使うてしもうてたんかなぁ」

「鳳さん」

「その声は、千林さん?」

「あんた、さっき廊下で、ポケットから落としたものがあったわよ。渡すから、ドアの下の隙間から、手を出してちょうだい」

「はい。……あの、おおきに」

「愚図だし、おっちょこちょいだし、根暗だし。嫌な女だと思うてたんやけど、案外、話してみたら分かる子やったんやな、あんた」

「気が強いから、何となく、避けてたのよ。それに、怖そうな委員長と、いつも一緒に居たから。ごめんなさい」

「そうやって、すぐに謝るのは、怒りの炎に、余計に油を注ぐことになるから、止めたほうがええよ」

「それも、そうやね」

「それより、どうなのよ、一組は?」

「悪くないわよ。中之島くんと、同じクラスになったし」

「あぁ。あの、記者倶楽部とかいう謎のクラブで、副長をやってる子やね。あたしも、委員長と別れて、別のクラスにもなって、せいせいしてるところや」

「仲が良さそうに見えたんやけど、何で別れたん?」

「あたしのことを、何かと束縛したがるし。傲慢不遜やし、器も小さいから、嫌気が差したんよ。距離を置いてみな、わからへんもんやね」

「そういうもんなんかなぁ」

「そういうもんやと、思うとって。それにしても、あんた、変わったわ」

「そう?」

「あの、びん底めがね、やめたんやね」

「冬彦さんが、こっちのほうが似合うてるって」

「なるほど。ねぇ、提案があるんやけど?」

「何?」

「そのね。名字やなくて、名前で呼び合うことにせぇへん?」

「ええよ」

「決まりやね。またね、華梨那」

「またね、瑠璃ちゃん」


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