第58話「二人揃って」
「あとは、職員室前だけだな」
「ありがとう、東野くん」
「ほんじゃあ、先に教室に戻るわな、冬彦」
「あとは、職員室前だけですね、秋さん」
「手伝ってくれて、おおきに、華梨那ちゃん」
「生徒会って、雑用が多いんですね」
「そうでもないんよ。結構、自由裁量やから」
「そうなんですか。あ、一年は、こっちなので。それじゃあ、ここで」
「うわぁ、いっぱいだなぁ」
「あ、北条くん」
「やぁ、西園寺さん。西園寺さんも、掲示?」
「そうなんよ。図書通信を作ったから、貼って回ってて」
「僕も、保健便りができたから、貼って回ってるんだけど」
「連絡だらけやね」
「年度末が近いからね。提出物とか、面談とか」
「あと二枚も、貼れるやろうか?」
「詰めれば、何とかなるんじゃないかな。ここから上を、僕が左上にずらしていくから、西園寺さんは」
「ここから下を、右下に移したらええんやね?」
「お願いします」
「これは、もう提出期限が過ぎてるんやけど、貼っとかなあかんのやろうか?」
「その先生からのは、勝手に剥がさないほうが良いんじゃないかな」
「三年生のやもんね。場所取りやけど、仕方ないわねぇ」
「何とか、貼れたね」
「きちきちやね」
「今月の一位は、天秤座か」
「星占いが載ってると、思わず見てしまうんよね。この心理テストも、そうやけど」
「当たり障りないことしか、書いてないんだけどね」
「それで、ええんよ。何も、結果を本気にしてる訳と違うて、話題にしたいだけやもの」
「そっか。そういうものか」
「そういうものなんよ」
「一足、遅かったみたいですね、隊長」
「出遅れてもうたな、副長。枠外に貼ると、剥がされてしまうからなぁ。ここは、諦めるしかないわ」
「ここまで隙間なく貼られてしもうたら、已むを得ませんなぁ」
「しし座は十一位か。道理で、ついてへんと思うたわ」
「やぎ座は、なんと、最下位」
「ワーストツーが揃うてもうたなぁ」