第52話「小噺」
「葛飾北斎って、何度も改名してるんやって」
「鉄の女が、余談で、そういうことを言うとったな。亡くなる直前の名前も、変わった名前やったな」
「画狂老人マンジやろ? 何か、戦隊物の悪役か、怪盗っぽい名前やんなぁ」
「そうやな。出たな、画狂老人マンジ」
「悪いな、ヒロシゲくん。これは、私が頂いて行く」
「何してはるんですか、会長、隊長?」
「あれ。何で、こんな話になったんやっけ?」
「長ったらしい名前の話やったな」
「パブロ、ディエーゴ、ホセ、フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード、ルイス・イ・ピカソ」
「ピカソの本名か」
「よぅ覚えてるもんやね」
「中之ぺディアには、天文学クラスの情報が詰まっているのです」
「その調子やったら、タイの首都の正式名称も言えそうやな」
「バンコクやないのん?」
「違いますよ、隊長。クルンテープ・プラマハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシットです」
「ウィキ之島は、高性能やな」
「あ、思い出した。落語の話や」
「そうや、そうや。植木の剪定をする動作が、リモコン操作に見えるって話やった」
「江戸時代の生活は、今とは、かけ離れてますもんね」
「薬籠が、薬を持ち歩くための入れ物や、って伝えたら」
「ご隠居を、麻薬の密売人と勘違いした奴が居る、って話もあった」
「葵の御紋が、反社会組織のシンボルマークって訳ですね?」
「三ツ葉や無うて、双葉や四ツ葉かもしれへんね」
「ほんで、寿限無の話になったんやった」
「小父ちゃんところの、寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の、水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに、住むところ、やぶら小路の、ぶら小路、パイポ、パイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイの、ポンポコピーの、ポンポコナーの、長久命の長助が、って話ですよね」
「そうや。それで、歴史上の変な人物名の話になって」
「北斎の話になったんやったな」
「ほんで、怪盗と探偵になってたんですね」
「すっきりしたわ」
「落ち着いたな」