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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
50/164

第50話「おかえり」

「お帰りなさい、東野さん」

「会長。お土産くれなきゃ、悪戯しますよ」

「ただいま、鳳。ハロウィンは、もう、とっくの昔に終わったやないか、中之島。あいにくやけど、今は手元にないんや」

「どうやら、お土産を渡す気はないようです、中之島編集長」

「こうなったら、ゴシップ攻撃ですな、鳳特派員」

「お前ら、いつの間に手を組んだんや?」

「編集長調べ。楠川小学校に通う、エーエイチさんからの情報です」

「楠山高校に通う、兄のダブルエイチさんは、辛いことがあると、押入れから五歳の誕生日に買ってもらった熊のぬいぐるみを取り出し、話し掛ける癖があるそうです」

「そんな恥ずかしい話を、こんなところでするんやない」

「さぁ、お土産を渡すのです」

「もう一つ、情報がありまして」

「分かった。あとで必ず渡すから、黙ってくれ。……まったく、青衣の奴め」


「まずは一つ目、ゲットやね、中之島くん」

「せやな、部長さん。あ、隊長や」

「お、副長と鳳さんやないか。二人揃って、どないしたん?」

「お土産ください、夏海さん」

「隊長よ。すぐに渡さないと、えらい目に遭わせるぞ」

「全然、凄みがないよ、副長。悪いけど、教室にあるから、今は渡されへんなぁ」

「ここは、スクープをお願いします、中之島編集長」

「任せとき、鳳特派員」

「いつから新聞社になったんや、副長?」

「編集長調べ。楠池中学校に通う、エスエムさんからの情報です」

「楠山高校に通う、姉のエヌエムさんは、小学校低学年の時、遠足先の動物園でチンパンジーに帽子を奪われ、あろうことか、飼育されているエリアに柵を乗り越えて乱入。鼻血を流しながらも、取り返したそうな。以来、しばらくは、怒ったら怖い鬼軍曹として、恐れられていたそうです」

「よぅ、そんなことを調べたものやなぁ。教室まで、付いておいで。……朱雀の阿呆。帰ったら、しばいたるからな」


「順調に二つ目、獲得せり」

「この調子で、あと二人も行こうな、中之島くん」

「噂をすれば、影というものや。会計さん、書記さん」

「鳳さんと、副長くんだ」

「待ってたんよ、二人とも。はい、これ。うちらからのお土産」

「おおきに。――出鼻を挫かれてしもうたね、中之島くん」

「いただきます。――そうやな、部長さん」

「二人して、僕たちの赤面情報をリサーチしたんだって?」

「うちらの、どんな情報を入手したん?」

「お二人に関しては、鳳特派員が調査致しました」

「カフェバー、エスを経営するケーエイチさんいわく、人前で『ふっくん』と呼ばれると、恥ずかしがるのだとか」

「小さい時の呼び名だからね」

「微笑ましい話やね。それで、彪子伯母さんからは、何を聞いたん?」

「おや。情報元が割れてしもうてる」

「一応、匿名にしておきますが、ブティック、エスを経営するエーエスさんによると、幼い頃、『アキオくん』という別人格を演じることが、たびたび見受けられたそうです」

「それほど、珍しくもないと思うけどなぁ」

「急に言われても、思い付かへんかったんと違うかな」

「これは、白旗です」

「相手の方が一枚上手やったね、中之島くん」


「あの、北条さん」

「まだ、あの話には続きがあるんでしょう、鳳さん」

「はい。その、黒江さんに頼まれたんですけど」

「春休みのことだよね。いいよ」

「まだ、何も言うてませんけど?」

「和彦父さんのお墓参り。母さんの代わりに、僕に付いて来てくれるつもりなんだろう?」

「はい。でも、ほんまに、ご一緒してええんですか?」

「いいよ。母さんのことだから、もう、往復の旅費は渡されてるんでしょう?」

「はい」

「詳しくは、追々話すよ。それじゃあ、僕は、この辺で」


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