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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
46/164

第46話「駄目押し」

「折りたたみ傘、うちわ、雑誌」

「飴ちゃん、お茶のペットボトル、合格祈願のお守り」

「リップスティック、ハンドクリーム、手鏡」

「ウエットティッシュ、制汗スプレー、ヘアバンド、目薬」

「ペンケース、メモ用紙、ボールペン、ハンドタオル」

「充電ケーブル、小銭、パスケース、ポケットティッシュ」

「よくもまぁ、これだけ詰め込んだもんやな」

「リュックのポケットに、小銭とか目薬を直に入れるのは、考え物だと思うなぁ」

「夏海ちゃんは、ポーチや財布を使わへんタイプなんやね」

「こんな乱暴な入れ方しとったら、肩紐も切れるわな」

「鳳さんに裁縫セットを借りに行くって言ってたけど、遅いね」

「そうやね。どないしたんやろうね」

「まぁ、でも。こんなに派手に破いてしもうたら、買い替えたほうがええんと違うか?」

「あくまでも、応急処置だよ、東野くん」

「あ、これ」

「ん? あぁ、それは」

「懐かしいね。一年生の時に配って回ってた、記者倶楽部のビラだ」

「まだ、うちらも生徒会に入ったところやったよね」

「あの頃は、毎週末に必ず、生徒会室に、部活動認可届を持って来とったな」

「『我々は生徒会が、記者倶楽部を学校の正式なクラブとして認めるまで、断固斗う所存である』なんてね」

「どこで覚えてきたんやら、何に影響されたんやら、よぅわからへんかったわぁ」

「二年に上がって、中之島を引き連れて来た時は、ほんまに驚いたわ」

「まさか、本当に新入部員を確保してくるとは、夢にも思わなかったよね」

「これで諦めるやろうと思うて、提示した条件やったのにね」

「あれが、駄目押しになって、認可せざるを得なかったんやったな」

「根負けだよね」

「あの熱意を、少しでも勉強に傾けてくれたらええんやろうけど」

「無理と違うか?」

「僕も、そう思う」

「そうやろうね」

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