第40話「憲法第二十条」
「秋ちゃんって、星座は何なん?」
「さそり座やけど。それが、どうしたのん、夏海ちゃん?」
「この雑誌に、星座別の相性占いっていうのがあるんやけど、よく当たるらしいんよ。さそり座と相性がええのは、うお座やね」
「ほんなら、華梨那ちゃんと相性がええんや」
「鳳さんは、うお座なんや。覚えとこ。えぇと、一月一日はやぎ座か。うわぁ、中之島は朱雀と相性がええんや」
「朱雀くんは、何座なん?」
「おとめ座。男らしゅうないって、本人は嫌がっとるけど」
「そんなん、関係あらへんのに。やっぱり、変わってるわぁ」
「他人とは違うことがええと思うてるから、ぴったりやな。冬彦くんはバレンタインの前日やから、みずがめ座で、おうし座と相性がええのんか」
「せやったら、春樹くんと相性がええことになるわ」
「のっそりしてるところが、おうし座らしいわ」
「誰が、のっそりやって?」
「あ、春樹くん」
「自覚してないん、春樹?」
「俺は、認めへんで。それより、雑誌を広げて、何の話をしてたんや?」
「星占いよ。それで、夏海ちゃんは、何座なん?」
「あたしは、しし座や。おひつじ座と相性がええらしいんやけど」
「それやったら、青衣が、おひつじ座や」
「そういうたら、青衣ちゃん、おひつじ座やったね」
「それも、覚えとこう」
「こんなもんが、ほんまに当たるんか?」
「うちは、華梨那ちゃんと仲ええし、春樹くんは、北条くんと仲ええやん」
「副長と朱雀も、仲がええほうやし、あたしも、青衣ちゃんと仲ええと思うし」
「まぁ、外れてはないな」
「占いを否定するのは、春樹くんの勝手よ。せやけど、イワシの頭も信心からって言うし、他人が信じてることを、横から止めさせる権利はあらへんのと違う?」
「何も、あたしらは春樹に、この占いを信じるように押し付けてる訳やないんやで?」
「分かった、分かった。そう、むきになるなや。おっかないなぁ」