表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
38/164

第38話「数え歌」

「いーちー、にーいー、秋刀魚の、尻尾、ゴリラの、息子、菜っ葉、葉っぱ、腐った、豆腐。これは、これでよしと。残りは、あと何枚や?」

「一包みあたり五十枚だから、あとは百五十枚弱かな」

「ようやく、全体の四分の三を越えたんやね」

「往復はがきの宛名シール貼りほど、生徒会役員として地味な仕事も無いやろうなぁ」

「僕の会計職や西園寺さんの書記職には、これに匹敵する仕事は枚挙に暇が無いけど、会長職には無いかもね」

「それは、遠回しな批難と受け取ってええんか?」

「手が止まってるよ、二人とも」

「ほんまに、七面倒くさいことを押し付けてくれたもんや。あの、無責任男め」

「数学の成績に、色をつけて欲しいよね」

「色付けなあかんほど、成績悪ぅないやん、北条くん」

「そういう西園寺かって、補習を受けたことないやろうに」

「でも、いいのかなぁ。こうして、来賓の人の名前と住所が、生徒の目に触れちゃってさ」

「生徒会役員やから、ええ加減なことはせぇへんやろうと思うてるんと違うかな」

「一応は、信用されてると言える、かもしれへんなぁ」

「そこまで考えてるとは、到底、思えないけどね」

「チュウ、チュウ、たこ、かい、な」

「人手が欲しいところやな」

「誰を呼ぶのさ。南方さん?」

「夏海ちゃんには悪いけど、せっかく来て貰うても、足手まといになるだけと違うかなぁ。この前の調理実習、例によって同じ班やってんけど。卵は割られへんし、りんごも満足に剥かれへんことが判明したんよ」

「手先が不器用なんやな」

「繊細な作業には、向いてなさそうだね」

「それだけや無いんよ。同時並行で物事を進めたり、順番を考えたりせんと、行き当たりばったりで行動するもんやから、何回『待って』って言うたか」

「段取りも甘いんやな」

「直列回路だね」

「しまいには、今は調理済みの食品が充実しているから、たとえ料理ができへんかったって、死にはせぇへんって開き直ってしもうたし」

「言っている内容は、あながち間違うてへんけど、それを言ってしもうたら、家庭科の授業の存在理由が無くなってまう」

「被服にしても、既製服が充実しているもんね」

「いーちー、にーいー、さーんー、しーいー、ごーおー、ろーくー、しーちー、はーちー、くーうー、じゅう。これで一包み終わったから、残りは、あと百枚やね」

「もう一息やな」

「頑張ろう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ