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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
34/164

第34話「隠し味」

「会長、ギブミー・チョコレート」

「俺は、厚木飛行場の進駐軍やない」

「サングラスとパイプが欲しいところかな。そういえば、もうすぐバレンタインだね」

「共学の高校。期待が高まりますなぁ」

「付属中学は、男子校やからな」

「でも、過度な期待は禁物かもよ、副長くん」


「もうすぐバレンタインか。どうしよう、秋ちゃん」

「昨年はどうしたん、夏海ちゃん?」

「作る勇気も、買いに行く度胸も無かったから、何もせんかった」

「せっかくの共学校なのに、もったいないですよ、夏海さん」

「白蘭会は、女子校だもんね」


「ほんで結局、男女それぞれ四人ずつ、グループになって手作りすることにした訳だが」

「妹さんと弟くん、鳳さんと副長くん、僕と西園寺さん」

「それでか、会長とた、隊長」

「笑うなや、中之島。厳正なる阿弥陀籤の結果、決まった交換相手や」

「勇者に、長老の我輩から、この胃腸薬を授けよう」

「おおきに、朱雀。使わんで済むことを祈るわ」


「はい、春樹」

「願わくば、花の下にて、春死なん」

「その如月の、望月の頃、かな?」

「何やら、辞世の句みたいですね、会長」

「キッチンデストロイヤーが作ったダークマターだ。命の保障はあるまい」

「失礼よ。見た目はともかく味は、うちが保障するわ」

「フォローになってないんと違う、秋お姉ちゃん」


「そんなこんなで、東野くんは欠席してる訳だけど」

「おかしいわぁ。材料も調理手順も、女性陣みんな同じやったんよ。夏海ちゃん、ラッピングの前に何か手ぇ加えた?」

「それは、教えられへんわ」

「来年からは、市販品にしようか、西園寺さん」

「そうやね、北条くん」


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