第34話「隠し味」
「会長、ギブミー・チョコレート」
「俺は、厚木飛行場の進駐軍やない」
「サングラスとパイプが欲しいところかな。そういえば、もうすぐバレンタインだね」
「共学の高校。期待が高まりますなぁ」
「付属中学は、男子校やからな」
「でも、過度な期待は禁物かもよ、副長くん」
「もうすぐバレンタインか。どうしよう、秋ちゃん」
「昨年はどうしたん、夏海ちゃん?」
「作る勇気も、買いに行く度胸も無かったから、何もせんかった」
「せっかくの共学校なのに、もったいないですよ、夏海さん」
「白蘭会は、女子校だもんね」
「ほんで結局、男女それぞれ四人ずつ、グループになって手作りすることにした訳だが」
「妹さんと弟くん、鳳さんと副長くん、僕と西園寺さん」
「それでか、会長とた、隊長」
「笑うなや、中之島。厳正なる阿弥陀籤の結果、決まった交換相手や」
「勇者に、長老の我輩から、この胃腸薬を授けよう」
「おおきに、朱雀。使わんで済むことを祈るわ」
「はい、春樹」
「願わくば、花の下にて、春死なん」
「その如月の、望月の頃、かな?」
「何やら、辞世の句みたいですね、会長」
「キッチンデストロイヤーが作ったダークマターだ。命の保障はあるまい」
「失礼よ。見た目はともかく味は、うちが保障するわ」
「フォローになってないんと違う、秋お姉ちゃん」
「そんなこんなで、東野くんは欠席してる訳だけど」
「おかしいわぁ。材料も調理手順も、女性陣みんな同じやったんよ。夏海ちゃん、ラッピングの前に何か手ぇ加えた?」
「それは、教えられへんわ」
「来年からは、市販品にしようか、西園寺さん」
「そうやね、北条くん」




