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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第2部
158/164

第58話「冬至」

「おい、お前」

「ん? うちのこと?」

「見かけへん顔やな。どこの学校の人間や?」

「何で、そんなこと教えなあかんのん?」

「口答えするとは、生意気やな。おら」

「きゃっ。何するのんよ」

「ええから、答えろ」

「こんな薄暗い時間に、こんな薄暗いところで、何をしてるんや?」

「委員長さん」

「キョウさん。えっ、あぁ、その。初対面の挨拶を」

「ほぉ。最近では、胸をどつくのが礼儀なんやな」

「いやぁ、あの」

「言い訳はええから、とっととどっか失せやがれ、このチンピラ中学生が」

「ひぃ。堪忍したってぇ」

「……よし、逃げたな。どこか、怪我してへんか?」

「平気、平気」

「それは、ええ。千林に用があったんか?」

「そうなんよ。あの、委員長さん」

「言いたいことは分かる。聞きたいことが山積みやろう。せやけど、胸に秘めたままで頼むわ。さっき見た光景も、早う忘れてしまいや」

「おおきに。助けて貰うてへんかったら、どうなっとったか」

「中学生は、法律上は未成年でも、身体は大人やから、気ぃ付けるようにな。俺は、このまま商業区域のスーパーに行くところやから、途中のバス停まで送るわ。うしろの荷台に乗り」

「えっ、そんな。うちは、大丈夫やから」

「ええから、乗って行き。さっきのクズが、その辺をウロウロしてるかもしれへんし」

「それも、そうやね。ほんなら、お言葉に甘えて」

「……乗れたか? しっかり掴まっときや」


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