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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第2部
142/164

第42話「白砂青松」

「まだ、受験は終わってへんのに」

「会いに来てはいけないとは言ったけど、会いに行かないとは言っていないよ」

「冬彦。素直に会いたかったとは、言われへんのか?」

「一番、素直やなかったのんは、東野さんと違います?」

「他人のこと言えないよねぇ」

「やかましいわぃ」

「瑠璃ちゃんは、委員長くんとビーチフラッグするって言うとって、冴絵ちゃんは、夏海さんとビーチバレーしとったけど、他のみんなは?」

「会長くんは、会計くんと西瓜割りしてたよ」

「西園寺は、青衣と貝殻拾いに出掛けとる。朱雀くんは浮き輪を持っとったから、そのへんで泳いどるんと違うかな。念のため、離岸流とクラゲに注意するようには、言うておいたけど」

「そろそろ、お昼やし、海の家で何か食べる物を買うたほうが、ええような気がするわ」

「そうだね。東野くんも」

「俺は、このパラソルの下で、見張り番をしとかなあかんから、二人に頼むわ」


「ラムネ、カキ氷、イカ焼き」

「食事になりそうなものでは無さそうな三点だけど」

「何もないより、ずっとええやない」

「それも、そうだね」

「それにしても、前に並んでた子は、傑作やったね」

「イチゴかメロンしかないって言ってるのに、白熊や宇治金時を注文しようとするんだものね。おかしな子だ。うん」

「ん? 冬彦さん。わたし、何か気に障るようなこと言うた?」

「うぅん。何でもないんだ」

「何でもない顔と違う。何か引っ掛かってることがある時の顔や」

「参ったなぁ。……ちょっと言いにくいんだけど」

「聞いて芦屋レーヌ」

「アロエじゃなくて? えっと、さっきの話だけど」

「顕微鏡で自由研究した話?」

「それより、前の話」

「芦屋しかり、神戸しかり、尼崎しかり。山手と浜手では、同じ市内でも大きく違うって話?」

「その前かな。さっき、僕が海の家のお兄さんに話しかけられたから、華梨那さんには、先に外で待ってもらったよね?」

「あぁ。何を話してたのんって聞いた時やね?」

「そう、それ。どうも、あのお兄さん。ゲイかバイらしくって」

「目星を付けられたのん?」

「そうみたい。一緒に居るのは彼女かって訊かれたから、そうですって答えたら、残念そうな顔してた」

「そうなんや。色んな人が居るもんやねぇ」


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