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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第2部
134/164

第34話「ワッティズ・ディス」

「これ、何?」

「あぁ、中之島の忘れ物や。クイズ・カードって言うとった」

「出題してみて」

「まぁ、簡単そうなのにしておくわな。連想される言葉から、元の単語を当てよ。お茶会」

「ケーキ」

「ハズレ。舞踏会」

「宮殿」

「惜しい。乗馬」

「貴族」

「正解。ちなみに他のヒントは、狩猟、テニス、ゴルフ、ワインセラー、庭師、メイド、銀食器、家紋」

「ほんなら今度は、こっちから出題するわね。科挙」

「官僚」

「ハズレ。纏足」

「中国」

「惜しい。愛新覚羅溥儀」

「清」

「正解。ちなみに他のヒントは、宦官、アヘン、満州、康熙字典、辮髪、西太后、聊斎志異、植民地」

「最近のクイズは、社会と国語に集中しとるよな。そのくせ、理科や数学は小学校レベルや」

「地理とか歴史とかは、知らんかったらそれまでやし、知ってる人には当たり前やから、クイズとして面白くないわ」

「そこを面白くするのが、腕の見せ所と違うか?」

「そうやけど、そう簡単にはいかへんからねぇ。そうや。この前のキャンプの写真を現像したのんよ」

「使い捨てカメラで撮っとったアレか」

「そう、そう。これが春樹の分で、こっちが青衣ちゃんの分」

「おおきに。青衣には、俺から渡しておくわ」

「ほんでな。一つ、気になる写真があるねんけど、見たい?」

「幽霊でも写っとったんか? 商品名の通りに」

「写るって、そういう意味と違うと思うけど?」

「まぁ、見せてみぃ」

「これやねん」

「南方と青衣のツー・ショットやな。これが、どないしたんや?」

「ピースが、四つあるやろう?」

「二人で撮ったんやから、当たり前やないか」

「この時、周りには誰も居らへんかったから、あたしが自分で撮ったんよ?」

「ん? ということは?」

「あたしの右に写ってる手は、誰のなんよ?」

「ゾッとする話やな。今度、北条に見せてみようか」

「趣味が悪いわぁ、春樹」

「面白い反応が見られると思うんやけどなぁ。そういえば、昔のホラー・ドラマで、こんな風に、手首から先だけの幽霊が居らんかったっけ?」

「居った、居った。そう考えると、ホーム・コメディーに思えてきたわ」

「幽霊の、正体見たり」

「枯れ尾花」

「おあとがよろしいようで」

「いや、いや。解決してへんよ?」

「したことにしとき。考え出したら限がない。寝られへんようになるで?」

「そんなぁ」

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