第34話「ワッティズ・ディス」
「これ、何?」
「あぁ、中之島の忘れ物や。クイズ・カードって言うとった」
「出題してみて」
「まぁ、簡単そうなのにしておくわな。連想される言葉から、元の単語を当てよ。お茶会」
「ケーキ」
「ハズレ。舞踏会」
「宮殿」
「惜しい。乗馬」
「貴族」
「正解。ちなみに他のヒントは、狩猟、テニス、ゴルフ、ワインセラー、庭師、メイド、銀食器、家紋」
「ほんなら今度は、こっちから出題するわね。科挙」
「官僚」
「ハズレ。纏足」
「中国」
「惜しい。愛新覚羅溥儀」
「清」
「正解。ちなみに他のヒントは、宦官、アヘン、満州、康熙字典、辮髪、西太后、聊斎志異、植民地」
「最近のクイズは、社会と国語に集中しとるよな。そのくせ、理科や数学は小学校レベルや」
「地理とか歴史とかは、知らんかったらそれまでやし、知ってる人には当たり前やから、クイズとして面白くないわ」
「そこを面白くするのが、腕の見せ所と違うか?」
「そうやけど、そう簡単にはいかへんからねぇ。そうや。この前のキャンプの写真を現像したのんよ」
「使い捨てカメラで撮っとったアレか」
「そう、そう。これが春樹の分で、こっちが青衣ちゃんの分」
「おおきに。青衣には、俺から渡しておくわ」
「ほんでな。一つ、気になる写真があるねんけど、見たい?」
「幽霊でも写っとったんか? 商品名の通りに」
「写るって、そういう意味と違うと思うけど?」
「まぁ、見せてみぃ」
「これやねん」
「南方と青衣のツー・ショットやな。これが、どないしたんや?」
「ピースが、四つあるやろう?」
「二人で撮ったんやから、当たり前やないか」
「この時、周りには誰も居らへんかったから、あたしが自分で撮ったんよ?」
「ん? ということは?」
「あたしの右に写ってる手は、誰のなんよ?」
「ゾッとする話やな。今度、北条に見せてみようか」
「趣味が悪いわぁ、春樹」
「面白い反応が見られると思うんやけどなぁ。そういえば、昔のホラー・ドラマで、こんな風に、手首から先だけの幽霊が居らんかったっけ?」
「居った、居った。そう考えると、ホーム・コメディーに思えてきたわ」
「幽霊の、正体見たり」
「枯れ尾花」
「おあとがよろしいようで」
「いや、いや。解決してへんよ?」
「したことにしとき。考え出したら限がない。寝られへんようになるで?」
「そんなぁ」




