第32話「特ダネのニオイ」
「叩いて、かぶって」
「ジャンケン、ホイ」
「それっ」
「おっと。セーフ」
「何をやってるのんよ?」
「見て、わからへんか、部長さん」
「そうやなくて、何で生徒会室でやってるのんかってことよ。ハリセンと安全ヘルメットなんて、どこにあったのんやら」
「生徒会室は、何でも屋やから。あたしに用事?」
「瑠璃ちゃんでも、中之島くんでもええんやけど、出屋敷先生がプリントを折るのを手伝うて欲しいらしくって。誰か一組の生徒を連れてくるように、言われてるのんよ」
「そういうことやったら、一緒に三人で行こう。な、会長?」
「書記さんの言う通り」
「助かるわ。ほんなら、物理教室に」
「悪かったね、急に手伝わせて。お礼に購買で、何か飲み物を奢るわ」
「ええんですか?」
「やったね」
「おおきに、出屋敷先生」
「僕たち」
「私たちは」
「出屋敷先生を忘れません」
「それは、卒業式の言葉と違うか? まぁ、ええわ。好きに選び。小林さん」
「いらっしゃいませ。また、生徒に集られたんですか、出屋敷先生?」
「違いますよ。仕事を手伝わせてしまったので、そのお礼に」
「幕の内と小林さんって、付き合うてるのんやろうか?」
「仲が良さそうやったよね」
「妙に、親密な雰囲気やったね。中之島くん、これはスクープになるのんと違う?」
「久々に、記者倶楽部が活躍できそうやな。ちょっと、探ってみようかな」
「面白そうやね」
「朱雀くんも、副長らしいことしてへんかったから、ちょうどええやろうね」
「鉄は熱いうちに打て、や。ここで失礼するわ。さいなら」
「さいなら、会長」
「さいなら、中之島くん」




