トリオとコンビ

第2部

第23話「時代遅れでも」

「下駄箱に恋文とは、ずいぶん古風なことを考えついたものだな、冴絵殿」

「ごめんね、朱雀くん。でも、教室とか、図書室とか、人目が多いところで言うようなことと違うから」

「それで、その言っておきたいことというのは？」

「えっと。……きっ……さい」

「風が強いな。もっと、声を張ってもらえると助かるのだが」

「じゃあ、耳、貸して」

「これで良いかな？」

「あのね。……朱雀くんのことが好きです。付き合ってください」

「我輩で良ければ。ただ、こちらとしても、我輩が七面倒臭い人間であることを、承知してもらう必要がある」

「それは、こっちも同じやから、一向に構わへん。ほんまに、ええんやね？」

「武士に二言はない」

「やった」

「二度も言わせて、済まなかったな」

「聞こえてたんや。もう。朱雀くんの意地悪」

「だから、言ったではないか。付き合うと、面倒なことになると」

「よかったやん、冴絵ちゃん」

「部長さんのアドバイスのおかげです。ほんま、おおきに」

「わたしは、大したことしてへんよ」

「ラブレターが一番効果があるって、言うたやないですか」

「あぁ、そういえば、そういうこと言うたような。でも、ほんまに上手くいくとは思うてなかったわぁ」

「ええっ。そうなんですか？」

「他人がやらへんようなことを、あえてやるのが好きな朱雀くんのことやから、今どき流行らへんようなことをしたら、ええんと違うかなって思うてただけなんよ」

「そんな」

「まぁ、うまくいったんやから、結果オーライと違う？」

「そんな、ええ加減なこと、言わんといてくださいよ」

「フフフ」