表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第2部
121/164

第21話「お静かに」

「バーコードという文明の利器を、まったく無視した高校だな、冴絵殿」

「小学校、中学校とバーコードやったから、ちょっと驚きやわ、朱雀くん」

「本のうしろにある貸し出しカードに、いちいち名前を記入しなくてはいけないのでは、手間に思って借りない人がいるのではないか?」

「そうかもしれへんね。それにしても、返す人も、借りる人も居らへんね」

「いまのうちに、イノシシの復習プリントをやっておこう」

「あぁ、国語のやね」

「受験は終わったというのに、何が悲しくて、中学の復習をせねばならないのだ」

「まぁ、そう言わんと、ちゃっちゃと済ませたらええやん」

「フム。三大和歌集か。我輩は中学時代、二組の三大馬鹿衆の一人と言われたものだ」

「面白いことを言うんやね」

「まったく、失礼な話だ。最初の空欄は、万葉、奈良、山上憶良だな」

「次は、古今和歌、平安、醍醐、紀貫之やね」

「そうなると最後は、新古今和歌、鎌倉、後鳥羽、藤原定家だな」

「続いて、六歌仙か。在原業平、小野小町、文屋康秀、喜撰法師、僧正遍照、大伴黒主。これで漢字は合っているのか?」

「合うてるんと違うかなぁ」

「いかん、いかん。じっと見つめて過ぎると、ゲシュタルト崩壊してしまう」

「同じ字を書き取ってたら、合うてるか不安になるっていう、アレやね?」

「たしか、大伴黒主だけ、小倉百人一首に選ばれていないんだったな」

「はみごにされたんや。入れてあげたらええのに」

「今度は、近代文学か。漱石の代表作だな。前期は、『三四郎』、『それから』、『門』。後期は、『行人』、『こころ』、『彼岸過迄』だな」

「代助が出てくるのんって、それからやったっけ?」

「その通りだ。それにしても代助とは、ひどい名前だな。ま、三郎よりは、良いかもしれないが」

「誠は天の道なり、っていう言葉に、自分だけ該当せぇへんのやもんね」

「『中庸』の一説だな。四書の一つだ」

「二宮金次郎の銅像が読んでる『大学』も、その一つやんね?」

「そうだ。あとは、『論語』と『孟子』だな」

「何でも、よぅ知ってるんやね、朱雀くん」

「隊長殿に鍛えられたからな。三大、四大、五大は、クイズの定番でな」

「他には?」

「五経が、易経、書経、詩経、礼記、春秋。四大奇書が、三国志演義、水滸伝、西遊記、金瓶梅。モーセ五書が、創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記。福音書が、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ。五大湖が、スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖といったところか」

「すごいやん」

「お二人さん。誰もいないからといっても、声が大きいわよ?」

「これは、失礼致した」

「すみません、岡本先生」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ