表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第2部
106/164

第6話「霙まじり」

「ホワイトデーのほうが、バレンタインより十度近くも暑いとか、どないなってるんや?」

「本当っすね、会長」

「地球上で、人知れず進行する異常気象。人類は、最早なすすべなしか」

「暖冬と、寒の戻りが重なっただけやと思うで、副長」

「お返しのチョコレートが、融けずに済みそうっすけど」

「ホワイトデーに、一月前の三倍返しとは。高利貸しも真っ青な利率、かつ、男女平等に反するではないか」

「意外と律儀やな、樟葉」

「これを怠って、付き合いを解消されたら困るっすから」

「浜町の国道沿いに店を構える、巷間で噂のフランス菓子店か」

「カタカナ四文字の洋菓子店と並ぶ、有名店やな。ええなぁ、彼女が居るって」

「会長って、慕われてる割には、モテないっすよね」

「親しみやすさは、モテる要素ではないのか」

「いつも、中之島くんには、他にええ人が居るって言われてしまうんや」

「不合格通知みたいっすね」

「貴殿が、より相応しい学校に進まれることを、お祈りいたしますってな。ふざけたものだ」


「バレンタインに告白かぁ。ロマンチックなんやね、瑠璃ちゃん」

「王道すぎて、恥ずかしいわぁ、華梨那」

「何を、恥ずかしがることがあるのんよ。いつもの瑠璃ちゃんらしく、堂々としてたら、ええやない」

「そうやろうか?」

「そういうもんよ」

「ほんなら、それで、ええとするわ。それより、華梨那のほうは、どうなんよ?」

「どうって?」

「北条先輩とのことに、決まってるやない。それやのに、白を切るなんて」

「堪忍したって。冬彦さんは滋賀に引越してしもうたけど、連絡は、毎日取り合うてるんよ。でも、あんまり頻繁に連絡すると、勉強は進んでるのんって言われてしまうんよ」

「華梨那が志望校に合格したら、滋賀に会いに行ってもええんやっけ?」

「そうそう。だから、それまでは勉強に集中せな」

「いよいよ受験生やもんね、あたしたち」


「何で、国立大の法学部にしたんっすか、会長?」

「弁護士になれたらと思うてな」

「そして、法曹界を牛耳る訳か。悪くないな。少し、席を外させてもらう。雉を撃たねば」

「行ってらっしゃい。何で、弁護士になろうと思うたんっすか?」

「社会の正義を守るため」

「セイさん。本当の理由は、何なんっすか?」

「誰にも言うなや。……六法全書を見とったら、身に覚えのある文言が羅列されてたんや」

「それ、民法っすか、刑法っすか?」

「黙秘させてもらうわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ