第3.5話 『彼の名は』
この小説のキャラクターデザインと物語を一緒に考えてくれている相棒の『あき』から
「主人公の名字がわかりにくいっ!」
と、ツッコミを受けましたので読み方に関する小話です。
メタい台詞が出てくると思われますので、苦手な方はスルーして次話へどうぞ
城内のとある部屋。
そこは鏡也に割り当てられた部屋であり、一般的な兵士達は立ち入りを禁じられている場所である。
立ち入りを禁じた理由としては勇者自身がいまだ本調子ではなく、病床に伏せた状態……というのもあるのだが、ベスティアによる鏡也の身辺の世話を他の者に見られるわけにはいかないだろうという王なりの配慮が本命であった。
「よいしょっと。うん、今度は零さずにできましたよっ」
「ああ、えと……ありがとう」
明るい笑みを浮かべているベスティアが持っているのは何やら匂いを放つ液体の入った瓶である。
あれこれと適当なサイズを探した結果、鏡也に一番合うサイズは大、中、小で言えば大サイズであった。
もう数日が経ち、動けない鏡也の身辺の世話を行うベスティアの手際は見事なものでそこらの看護師と比べたとしても勝るとも劣らない働きを見せている。
対照的に鏡也の方は日が経つにつれ、ある一時だけベスティアの顔を直視できずにいた。
それもそのはずである。
動けないから仕方ないとはいえ、美少女が自身の下の世話をしているのだ。何とも思わない男子がいるだろうか。いや、いないだろう。
(見てる前でするのは慣れてきたけど……まだ触られるのは慣れない……)
彼は少し前にしたベスティアとの会話を思いだす。
「鏡也さん、このぐらいの位置でいいですか?」
「あ、えとっ! その、もう少し上に……」
「わかりましたっ。不安定になってしまうので、根元の方を支えておきますね。えいっ」
「あぅっ……! そこは!」
「あれ? なんだか急に安定性が出てきたようですね。これなら支えなくても平気そうです」
「……うう、は、恥ずかしい……」
瓶をあてがわれるだけでもかなり感覚としては際どいものがあるというのに、ベスティアは最初こそ戸惑ったものの、それ以後は臆することなく触れてくる。
流石にそこまで積極的に触れられると健全な男子である以上、尿意とは別の何かが込み上げる事も少なくはない。
(かといって、流石に……そこまでしてもらうわけには……)
「鏡也さん? 聞いてないんですかね?」
(しかし、これから先……そういう気分になっちゃうこともあるしな。ただでさえ目のやり場に困るのに……)
「鏡也さぁーんっ! もう、考え事してますね……仕方ありません」
ベスティアは全く聞いていない様子の鏡也の布団へ添い寝する様に潜り込むと、耳を軽くあむっと口に含んだ。
「ーーーーーーーーッ!? ッ!! ?……!……っ!?」
「やっと気づいてくれました。まったく、気づかない鏡也さんが悪いんですからね?」
「えっと、何!? あう、えと!」
「落ち着いてください。今日はお便りが来てるんですよ」
「へ? お、お便り?」
「そうです、どうやら私達のキャラクターデザインを担当してくれている『あき』さんからのようですね」
「キャ、キャラクターデザイン?」
「はい、投稿主は最初にキャラクターのデザインがある程度決まっていないと書く気力にならない、との事で大体の場合は相棒である『あき』さんにキャラのデザイン画を描いてもらっているようです」
「ああ、なるほど……投稿主、自分には服のデザインセンスが壊滅的にないとか言ってたもんね」
「ではそのあきさんからのお手紙を開けますね」
『鏡也の名字にルビがないから、読み方がわかりづらい』
「えと、一言だけですね。要点だけをビシッと……なんとも漢らしいです」
「でも女性だよね、あきさん」
「世の中にはそういうかっこいい系女子ってのがいるんですよ」
「な、なるほど」
納得したようである鏡也にベスティアが問い掛ける。
「鏡也さんの名字は『御中』ですよね? 実際なんて読むんです?」
「何て読むと思う?」
「おなか……です?」
「違うよっ。俺の名字は腹部じゃないかなー」
「じゃあ、おんちゅう?」
「そういう読み方もするよね。というかそっちの方が一般的かな」
「ああ、それなら『みなか』ですね!」
「そうそう、正解だよ」
「……あんまり、そっちの読み方はしない気が……」
「投稿主が草葉の陰で泣いちゃうから、やめてさしあげて!」
「あはは、あれ? 手の下に何か……?」
ベスティアは伸ばしていた手の下に何か硬い異物がある事に気が付く。
何だろうと思い、それを詳しく触ってみる。
そうやら硬い棒状の何かのようだ。
更に彼女はそれを握ってみた。棒状の何かは脈打つようにびくりと動く。
この動き方からすると硬い棒状の何かは生物のようである。
(鏡也さんのベッドに潜り込み、あまつさえ股間にくっつくなど……許せる所業ではありません! 成敗しなくては!)
殺すにしてもまずは引き剥がさなければならない。なぜならもし毒性の血液などが流れていた場合、それが断面から吹き出し鏡也にかかってしまうと鏡也の命に危険が及ぶ。
彼を守ると誓った以上、ベスティアはそんな事態を引き起こすわけにはいかなかった。
「まずは一気に引っ張ります! 離れなさいっ!」
「……ッーーーー!?」
急にひっぱられた為、鏡也は声なき悲鳴を上げるがそれにベスティアは気づかない。
それは勿論のことながら引っ張って取れるような代物ではなかった。
ベスティアは考える。引っ張ってダメというのならば、生物的に警戒されているのではないか。
ここはなだめるべきではないかと。
「わかりました……一先ずは休戦といきましょう。怖くないですよー、よーしよーし」
それを優しく撫で、時に握って上下にさすってみる。
次第にそれは硬く、長くなっていくようであった。
「べ、ベスティア……な、何をーーっ。や、やめ……今は、ちょっと!」
「ここまで弱らせれば平気ですね……その姿、見させて頂きます!」
制止する鏡也の声など『見知らぬ強敵』との戦いに熱中しているベスティアに届くはずがなく、部屋に木霊するだけに終わった。
むんずと鏡也の腰から下を隠す様にかけられている布を掴むと、一気にベスティアは布を鏡也から引き剥がした。
しばしの沈黙。時が止まったかの如く、静止する二人。
そして起立する……大木。
大木へとベスティアの視線がロックされている。
「あ、あ……い、いま、いまいまいま……触ってたのは……もしかして……」
ベスティアが誰となく確認なのか救いなのかどちらかを求めて言葉を放つが、鏡也は赤面したまま俯いていて答えない。答えられないと言った方がいいだろうか。
少し遅れてベスティアもその顔を赤く染めた。
「す、すいませんっ! あの……蛇とかその類が張り付いているものとばかり……!」
「いいよ、き、気にしてないから!」
「いえ、そういうわけにはいきません! こうなったのも私のミスによるもの。それならばしっかりと場をおさめなければ」
「お、おさめるって……一体、何を――」
「もちろん、私が……鏡也さんの――こ、これ以上は言わせないでください、流石に恥ずかしいですっ!」
「えっ!? あ、ご、ごめんっ」
「はい、大丈夫です……では、いきますっ」
その後、ベスティアに連れられて夕食に現れた鏡也はげっそりとくたびれた状態であり、ベスティアは対照的にやけに艶々としていたという。
一体、何が行われたのか……それは二人しか知る由もないが、ベスティアの世話メニューの中に何かが一つ加えられたのは言うまでもなかった。
読み方に関する小話のはずが、書いてみれば違う事もちらほら。
まあ、動けないわけだし……こうなるよね、きっと。
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