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君色レッスンズ  作者: 柏原ゆら
-main story-
6/13

#06

 今日は、いつもより少し遅れてしまった。

 小走りで教室へ向かうと、まだ生徒達は席に着いていなかった。ホッと、胸を撫で下ろす。

 席へ向かうと、珍しく望月が鞄から筆箱やテキストを出していた。もしかして、授業に出てくれるのだろうか。そう考えると、胸が高鳴った。


「望月君、今日は授業出るの?」

「うん。日高さんが誘ってくれたからね。それに、今日は睡魔は襲ってこないみたいだし」


 そっか、と笑いかける。嬉しい。なんだか、いつも以上に心細さは感じなかった。

 いざ授業が始まると、望月は真剣な面持ちになった。昨日は気にも留めていなかったが、望月は左利きらしい。つまり、莉乃が左側に座っている事によって、時々肘があたるのだ。


(……なんか、ドキドキする)


 心臓の音がうるさい。少しずつ赤らめてくる頬を、自身の冷えきった手で覆い隠した。望月と関わる前までは、こんな事無かったのに。

 そんな莉乃をよそに、突然先生がテストをやると言い出した。生徒達は各々ブーイングをする。莉乃は心拍数が加速していく中、テストを行った。


(きっと、ボロボロなんだろうな……)




 テストはすぐ返ってきた。見ると、90点。なかなかで、悪くはなかった。ホッと、胸を撫で下ろす。


「望月君、何点だった?」

「僕は94点」

「えっ!」


 まさかの、負けた。望月よりは頭は良いと思っていた。それも、この範囲は今日の授業のまとめだった。


「悔しい……。望月君、もうこれからずっと寝てていいよ」

「え、何で?」


 だってテストで負けちゃうから、なんて言えない。それに、起きていてくれたほうが心細くない。結局は、起きていてほしいのだ。


「……嘘」


 ボソッと呟くが、望月の耳には入っていないようだった。


皆様、明けましておめでとうございます!

2016年初更新となります。今年もよろしくお願い致します。

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