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君色レッスンズ  作者: 柏原ゆら
-another story-
11/13

#04

「――さん? 日高さん? 大丈夫?」


 望月の声で、ハッと我に返る。望月が「大丈夫?」と顔を覗かせていた。


「日高さん、なんかボーッとしてたよ」

「あ、うん。ごめん……」


 どうやら、また考え事をしていたらしい。昼間に、ゆうと一華にも指摘された。


「具合でも悪いの?」

「ううん、違うの。大丈夫だよ」


 眉をハの字にしかめる。すると、望月はよかった、と微笑んだ。

 その後、沈黙のまま足を進める。ふと、莉乃は望月に問いかけた。


「望月君って水無さんのこと、まだ好き?」


 望月から、え? と少々驚いたような声があがる。自分だって驚いた。何を訊いているんだろう。撤回しようかと考えたが、それよりも早く、望月の口が動いた。


「何で?」


 質問を、質問で返されてしまった。それが、心に刺さった。いつもの軽い感じで、「好きじゃないよ」と言ってほしかったのに。即答しなかったところから、まだ好きなんじゃないかという予想が広がっていく。


「だ、だって、前好きだった人と突然再会したんだよ? それに、水無さんはまだ望月君のことが好きみたいだし。私だって、望月君のことが誰よりも好きって言ったけど、周りから見ても、望月君には私より水無さんのほうが合ってると思うし……」


 結局、自分は何が言いたいのだろう。よくわからないが、きっと不安なんだ。


「私、邪魔じゃない……?」


 不安なんだ。飛鳥は、自分より積極的で、そんな飛鳥にいつしか望月をとられてしまうと思っている。望月に手を伸ばしても、するりと抜けていってしまいそうで怖いんだ。

 望月は何も言わない。何故だろう。図星で、言葉が出ないということだろうか……?

 そんな暗い雰囲気の中、明るい声が飛んできた。


「えっいたーーー!」


 刹那、ドサッという重たい音がなる。目の前には、望月に背中からのしかかる飛鳥がいた。


「……飛鳥、重い」

「英太~、一緒に帰っていい?」


 鼻の先がくっつきそうな距離で、飛鳥は望月に問う。望月は数秒考えた末、いいよと微笑んだ。


(え……?)


 望月の返答に、莉乃は目を丸くする。折角の二人での下校だったのに、望月は何故快く了承したのだろう。莉乃は、たとえ空気が悪くたって、二人で帰りたかったのに。

 ――やはり、望月は気移りしてしまったんだ。莉乃より長く想ってきた飛鳥に気持ちが移ってしまったんだ。


(――『好き』って、一度も言われなかったな)

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