表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君色レッスンズ  作者: 柏原ゆら
-another story-
10/13

#03

「莉乃……大丈夫?」


 突然降りかかってきた一華の言葉に、ビクリと肩が震える。ボーッとしていた莉乃を心配に思い、声をかけてくれたらしい。


「……あぁ、うん。大丈夫だよ」

「それにしても、水無さんって空気読めないっていうか、莉乃と望月君のことを知らなかっただけなんだろうけど……」


 なんかねぇ、とゆうは顔を歪ませる。そんなゆうを見ながら、莉乃は先程の場面を思い出した。


『二人ともベッタリくっついちゃってるけど、そういう関係なの~?』


 ベタベタな望月と飛鳥の間に一言入れたのは、またもや力だった。力の顔は悪戯をするような、冷やかしそのものだった。力のその言葉に、莉乃はビクリと反応する。が、望月はいたって冷静に答えた。


『いいや、そんなんじゃないよ。現に、僕にはカノジョがいるし』


 ね、と望月は微笑みかけてくる。その笑顔に、カアアと顔が熱くなった。一方で、飛鳥が声をあげた。


『えぇっ!! 英太、カノジョできちゃったのー!?』


 飛鳥だけでなく、修馬や力も望月に詰め寄る。望月は、あっさり莉乃がカノジョだということを明かした。飛鳥達は、一斉に莉乃を見て、この子が……と各々感想を語っていた。

 とその時、授業開始五分前を告げる予鈴が鳴った。

 またね、と望月に手を振り、莉乃達は移動先へ向かったのだった。


「――にしても、望月君って結構素直な子なんだねぇ。それに、めっちゃ莉乃に笑いかけてたし」

「相当莉乃のことが好きなんだろうね」

「へっ!?」


 驚く莉乃をよそに、ゆうは一華の言葉に頷く。二人は楽しそうに語り合うが、莉乃の心は霧がかかったようにモヤモヤしていた。

 飛鳥は、以前望月が想いを寄せていた人。望月曰く、飛鳥も望月が好きだった。そんな人が突然目の前に現れるなんて、嬉しいに決まっている。気持ちは晴れたと言っていたが、飛鳥はまだ好きなようだし、気持ちがぶり返してもおかしくはない。

 自分は邪魔なのではないだろうか。そんな不安がよぎった。


「ねぇねぇっ」


 突然、何者かに肩を叩かれる。ハッとなり、振り返ると飛鳥がいた。どうやら、莉乃達三人に話しかけたらしい。


「教室ってどこだっけ? 帰り方忘れちゃって」


 あはは、と苦笑しながら問われた。教えるのも(しゃく)なので、ついてくるよう飛鳥に言った。

 そんな時、飛鳥が莉乃に話しかけた。


「日高さんが、英太のカノジョなんだよね?」

「う、うん」

「そっか。英太をよろしくね!」


 え……と、莉乃は固まる。何か、悪いことでも言われるのかと思った。なのに、なんなのだろう、この笑顔は。飛鳥が全く理解できなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ