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小説幻怪伝  作者: 蝦夷 漫筆
讃岐の激闘、恐怖の天狗王
13/122

天狗軍団アジトでの戦い

 石鎚山天狗岳~暗黒帝国四天王の一角、崇徳大天狗率いる天狗一派のアジトに駆けつけた幻怪戦士一行。


 挿絵(By みてみん)


 彼らは仲間である河童の煤が今まさに拷問を受けているのを目の当たりにした。

 彼らの狙いは、伝説の石「願いの破片」の在り処を訊き出すこと。


 「言わぬなら構わぬ、その目玉を焼いてしまえ」


 押さえつけられた煤の眼前に、灼熱の焼きごてが迫る。


 「恐怖を、その身に刻め」 


 岩陰に隠れていた悦花、考えるより先に身体が動いていた。


 「こら天狗、調子に乗ってんじゃねえよ」


 すり鉢状になった洞窟内のアジト、その正面の高い位置にすっくと立ち大きな声を上げた。

 

 「ほう、仲間、か」

 一瞥した崇徳大天狗が部下に目配せ。直ちに無数の天狗たちが悦花に群がる。

 「はああっ」

 腹の底から一喝。声の波動が暴風の渦となってアジト内に吹きすさぶ。あちこちで羽根を散らして倒れ込む天狗たち。


 「だから、お前らみたいな下っ端はも邪魔だっての」

 天狗たちが再び立ち上がる前に、すでに悦花は飛び上がっていた。

 「ほうら」

 深紅の振り袖が鮮やかに宙を舞う。携える武器は幻鋼げんのはがねで出来た煙管。

 「クアアッ」

 脳天を砕かれた天狗が一匹、また一匹と黒い煙を立ち上らせながら地に落ち融解してゆく。岩から岩へ、軽やかなステップはまるで南蛮舞踊。


 「さあて、こちらも行くか」

 飛び出した悦花を見て、他の三人の幻怪も戦闘開始。すり鉢状の構造は、からくりの裕にとって有利な戦場。連発式の幻ノ矢が面白いように天狗たちを捉え、小さな稲妻を発しながらその首筋を貫通する。

 

 「雑魚め、刀が汚れるわ…」

 正眼から一太刀、返して下段から一太刀。群がった天狗は一振りごとに裂かれて散ってゆく。一刀彫の雅の全身から立ち上る剣豪のオーラに圧倒された天狗たちは思わず後ずさり。


 「お、逃げる、逃げる?」

 背後から漆黒の刀身をかざして構えるは蝦夷守。

 「ほれ、ほれ」

 二人が天狗たちを追い詰める。

 「さて、行こうか」

 目を合わせた雅と蝦夷守、一気に襲いかかる。うごめく天狗の群れを前に、ぐっと身体を沈めて下段の蝦夷守、思わず飛び上がって逃げようとする天狗たちの上にはすでに飛び上がった雅の崇虎刀が。

 「ふぬっ」

 空中で二、三度刀を返す。磨かれた刀身にマグマの赤が反射しギラッと辺りを照らした。

 「クウアッ」

 着地した雅の周囲には鋭利に斬られた天狗の屍がドサッ、ドサッと次々に落ちてくる。

 「さすが、瑞典ずいてん流免許皆伝の腕前」

 ニヤけながら言う蝦夷守の周囲を天狗が取り囲む。一斉に襲いかかる天狗たちを斬る、足払いして転がしては蹴飛ばす、また斬る。しかし左右から同時に攻め込まれ、一方を斬ったが反対側は間に合わない…懐から取り出したフリント銃が火を吹いた。首から上を失って倒れる天狗。

 「さすが、自己流免許皆伝の腕前…」

 呆れたように溜息をつきながら首を横に振る雅。


 「さあ、アンタもおしまいだねえ」

 天狗のアジトを制圧した幻怪たち。悦花が紫煙をくゆらせ微笑みながら首領・崇徳大天狗に近づく。


 「今どきのガキゃ威勢がいいな」

 玉座からゆっくり立ち上がった崇徳大天狗。


 「おお」

 思わず見上げる長身。


 「死ねッ」

 手にした鞭がしなり、暑く乾いた空気を切り裂く。鋭い音が洞窟内に響き渡った。



つづく




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