第八話 大切な自己紹介
私は、ホープ。全知全能の神様。この物語の主人公よ。
そう、私がこの物語の主人公、ホープ。大切なことだから二回言ってみた。
そして、ここが、中央区画と呼ばれる天界を司る中枢のお隣区画の私の家。
今日はお引越しでばたばたしてる。
家は球形で、2階建て。部屋数は、個人の部屋4つ、地下倉庫1つ、執務室、リビングの合計7つ。
1階はリビングと執務室。リビングは2階まで吹き抜けになっていて、地下倉庫への入り口と2階への階段がある。
2階は執務室の上に位置していて、4つ個人の部屋が並んでいる。4つの個人の部屋は、外のベランダにつながっている。
以前の家は、天界の片隅で、神通りもなく星空ばかりだったから、ガラス張りの作りにしていたけれど、
今回の家は、天界の周辺区画で、神通りもあり、人口太陽と人口衛星により昼と夜があってガラス張りというわけにもいかず、基本白を基調とした壁で作ってる。
家の紹介の次は、一緒に住む仲間の紹介ね。
1階の執務室で、椅子や机、モニターを並べているのが、神のお使いの天使のミカエル。
ちょっぴり控えめだけど、とても頭がいい…。
そして、リビングの家具の位置を調整しているのがメモリナ。
見た目は16才ぐらいの女の子だけど、実は機械と人形でできていて、作られてからすでに数千年経過しているらしい。
かなり高度に作られていて、光をあびて充電することができる。
2階でかたずけている…、いや…、今は日光浴しているのが、ルミエル。
5~6才ぐらいの女の子に見えるが、精霊で、姿かたち自由に変えられるため実際の年齢はわからない…。
2階の個人の部屋の天井は、メモリナとルミエルが日光浴できるように、透明度を変えられるガラスでできていて、ルミエルは今は日光を取り込んでいるみたいだ。
「ルミエル、引っ越しの準備は終わったの?」私は聞いてみた。
「うん。残りは後でやる…」こうしてみると、本当にただのわがままな女の子にしか見えない。
「1階は大体片付きました!」ミカエルが報告してくれた。
「じゃあ、少し休憩しようか。一通り片付いたみたいだし…。飲み物でも飲もう」
私は、皆を集めて、神の力で小さなテーブルとソファーを用意した。
「わーい。わたしジュースがいい!」
ルミエルは精霊、2階から浮いてふわりとおりてくる。
普段は普通に歩くのだけれど、家の中ではふわふわしてる。それだけ、くつろいでいるってことかな?
ゆっくり皆で飲み物を飲んで談笑していると、ミカエルがふと机の上の封筒に気づいた。
「ホープ様、封筒が届いています。生命コンテストのご案内みたいです」
「えっ。何それ、面白そう…」
私は、手紙を受け取って、手早く読んだ。
「わっ、すぐに準備しなきゃ…。ミカエルー。お隣さんへのご挨拶、お願いしていい?
ご挨拶用の品は…、そうね…、この前買った紅茶がいいかしら」
「はい、わかりました」
「じゃ、私は、ちょっと地球に行ってくる…。
生命体の美しさ、希少さ、強さをコンテスト、か。何がいいかしら…」
天界以外では、生き物への直接的干渉は封じられ許可制となっている。
ただし、今回の生命コンテストに限り、対象の生命体を不定とする簡易な申請でいいみたい。
私は早速、簡易申請を準備、提出し、地球へ向かうことにした。
地球は、私の仕事である“星の観察”の観察対象の星の一つ。
私が一番初めに観察した星ということもあり、とてもお気に入りでいつも観察している星だ。
「展示の事前申請はしていないし、あまり大きなものは、そもそも展示できなさそうね…。
美しさ、希少さ、強さ…。行ってみて考えるしかないか…」
いつもなら事前にしっかり考えておくのだが、今回ばかりは仕方ない…。
地球のいろいろな図鑑を思い出しながら、地球へ向かった。
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