第五話 天界の捜査
「昨日の展示、なかなか面白かったですよ」とイベント好きな私は、レグルスさんに話しかけた。
レグルスさんは、はじめのうち興味深く聞いているふうだったけど、途中から話半分といった感じでモニターを見てた。
やっぱり少し残念ね…。私は話したかったから、構わず話し続けたけど…。
ふと気づくと、レグルスさん宛てに青い封筒が届いてた。
天界では、青い封筒は本人が直接開封するという決まり。そのままレグルスさんに渡した。
多分天界からの重要機密かしら…。審律官だし、多少そういう情報も回ってくるのね…。
「青い封筒ですよ」
「あ、ありがとう」レグルスさんは封を開けて中身を確認する。
「天界の捜査の依頼みたいだ。それと、今回は、ミレイユさんにもサポートでついてきてもらいたい」
「…。わかりました」私が直接ついて回る依頼なんて珍しい…。今は神の力も使えないのに、役に立てるのかしら…。
少しだけ準備して、捜査に向かった。
捜査の対象は、科学技術班のヴァルナスだった。
生命コンテストで気味の悪い展示をしていた神だ…。ちょっと不安になってきた…。大丈夫かしら…。
「大丈夫、多分、確認するだけだから」不安そうな私をレグルスさんは励ましてくれた。少しはいいところあるじゃない。
ヴァルナスの家に着く。私たちと同じ区画にあったから、結構近かった。広くてとても大きい家だ。
うす灰色が基調でシンプルな作りをしている。目立ちたくない神様なのかしら…。
「こんにちは!ヴァルナスさんはいらっしゃいますか?」私が中の人に呼び掛ける。その間レグルスさんは、辺りを見回している。
何かあったときに助けてくれようとしているのかもしれない、少し心強い。
「はい、ヴァルナスですが、何かご用ですか」少しして、ヴァルナスが家から出てきた。
「こちら、審律官のレグルスです。これから審律官の立ち入り調査を行いますので、ご協力ください」
「人数はお二方のようですね。ではどうぞ」ヴァルナスは私たちを中に案内する。
一瞬困った顔をしたように見えた。審律官の立ち入り調査なんて急に言われたら、誰でも困った顔をするに決まっている…。
何もなければ、家の中を簡単に調査して終わるはず――私はそう考えていた。
一通り家の中を見て回ったが、変わった様子は何もなかった。
私は、よかった、何もなかったと安心していると、レグルスさんはヴァルナスに話しかける。
「生命コンテストに展示されていた生き物はどちらですか?」
「あぁ、展示していた生き物は、地下に移動しました。あまり評判がよくなかったものでね」
そう言って、ヴァルナスは地下へ私たちを誘導する。
「科学技術班のヴァルナスさんならご存じだと思われますが、生き物の合成は天界では禁じられております。
もちろん、研究のため、申請の上、合成されているかと思いますが、度を越えていないか確認させてください」
レグルスさんは今回の捜査の趣旨を説明しながら、地下に移動していった。
「はい、研究の発表とした生き物はこちらですね。どうぞご確認ください」
私はまたこの生き物を見ることになってしまった…。やっぱり何度見ても気持ち悪い…。
「申請の通りのようですね」
「それは、もちろんです。私は長く科学技術班をやっておりますからね…」
しばらく、辺りを見回していたが、レグルスさんは、さらに何かに気づいたようだ。
「奥にも部屋がありますね…。確認させてもらってもよろしいですか?」
なんか、地下に来た辺りから薄気味悪さを感じている…。
レグルスさんは、ヴァルナスに連れられて奥の部屋へ向かっている。
私も、おそるおそる奥の部屋へ入ることにした…。
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