第四話 生命コンテスト
今日は生命コンテストの開催日。
コンテストみたいなイベントが大好きな私は、もちろん参加するわ。
事前に配られていた広告によると、生命体の美しさ、希少さ、強さなどを競うコンテストのようね。
誰でも展示可能、誰でも見学可能で、審査員と観覧者の投票によって順位が決まるみたい。
観覧者は気に入った展示に一つ「いいね」を付けることができる。
観覧者は多くの展示に対し「いいね」を付けられるから、広く支持される展示の評価が高くなるってことね。
それとは別に審査員の投票もある。審査員が一番いいと思う展示に審査員の持つ票が割り振られる。
こちらは単純に、展示の中で一番という評価を目指す必要がある。これを狙うのは難しそう…。
どういうのが評価高くなるのか、考え出すときりがなさそうだけど、私は観覧者側だから、気楽に見て回ることにするわ。
最近行われた「文明発展コンテスト」といい、「生命コンテスト」といい、星の文明や生命を対象としたコンテストは珍しい。
少し、天界の目指す方向性でも変わったのかしら…。
コンテストといえばもちろん、天界の大広場、セレスティア・プラザ。
セレスティア・プラザは、中央区画のお隣、そして私の神、レグルスさんの家のお隣区画でもあって、移動はとても簡単。
前回行われた文明発展コンテストの時は、盛り上げるための仕掛けがいくつもあったけれど、今回の生命コンテストは一転して静かな雰囲気。
といっても、観覧者は比較的多いから、少しがやがやしてるって言った方が正しいかしら。
広場全体が展示スペースになっていて、事前に申請した神々に割り振られてる。
展示する生命体の大きさによって、それぞれ割り振られる大きさが変わるみたいで、一番狭いスペースは、神様の身長分ぐらい。
展示には、ガラスケースと机、モニター、椅子が二つ用意されている。
多くの展示は、机の上に展示品を入れたガラスケースとモニターを置き、となりで神様が椅子に座って展示を説明している感じね。
余った後ろのスペースはみんな荷物置き場にしているみたい。
セレスティア・プラザの中央には、大きな球形モニターがあって、広場のどこにいても見ることができる。
その球形モニターには、今回は、多くの展示が少しずつゆっくりと投影されているみたい。
私は今回の自由気ままな感じの方が、穏やかで好きね。前回の文明発展コンテストは、私には少し騒がしすぎたわ…。
レグルスさんも参加するのかと思っていたら、今日もお仕事が入ってしまって、私だけの参加になっちゃった。
それで、レグルスさんの展示のところに、看板を置いておくように頼まれてる。
先に頼まれた看板を展示スペースにおいて、他を見て回ることにしたわ。
私は、早速レグルスさんの展示の場所に行ったの。
案の定、何も用意されていない。そもそも、レグルスさんは一回もここに来ていないんだもの…。
言われた通り、机とモニター、何も展示されていないガラスケースをセットして、頼まれた看板を机に立てかけて、生命コンテストを見回ることにしたわ。
やっぱり、私の神様、残念系男子ね…。
ふと歩いていると、お隣のミカエルさんを見つけた。展示の説明をしているみたい。その隣にいる神様はおそらく、ホープさんね。
「ミカエルさん、こんにちは!お隣がホープさんね」
「あっ、ミレイユさん。こんにちは!はい、この方がホープ様です」
「ホープです。お引越しのご挨拶が遅れてすみません。これから、よろしくお願いします」
「こちらこそ、レグルスさん結局今日も調査に出かけていてご挨拶できず、すみません」
「お忙しい方なんですね…。また、今度ご挨拶に伺います。よかったら展示、見ていってください」
私は、展示の生命体を鑑賞する。
「あら、かわいい生き物ね。「カエル」っていうのね。とてもきれいな色をしているわね」
「はい。私、星の観察をしているのですが、地球って星の生命体を持ってきました!」
「宝石みたいね」展示された隣に置いてあるモニターに「いいね」マークをつけておいた。
それなりに多くのいいねをもらっているみたい。少し地味な気もするけれどとてもセンスを感じる展示だったわ。
他にもいろいろ見て回ったら、あっという間だったわね。
かっこよさを追求した生命体、美しさを追求した生命体、強さを追求した生命体…。
過酷な環境において進化を促した生命力の高い生命体ってのもあったわね。
どれも面白かったけど、お偉い天界の科学技術班の展示はちょっと変だった…。
いろいろな生き物を組み合わせているみたい…。正直、はっきり言ってちょっと気味が悪い…。
帰り間際に、レグルスさんの展示をみたんだけど、多少いいねをもらっているみたい。
何にもない展示なのに…、わかる人にはわかる展示だったのかしら…。
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