第三十九話 地球
私は力の限り高く飛ぶ。
そして、重力をも利用して力いっぱい速く急降下。
水面すれすれ、私は翼を使って向きを変え激突をまぬがれる。
風を切る感覚。
自分の力で飛ぶ喜び。
徐々に疲れていく体でさえ心地よく感じられる。
宇宙を飛んでいる時とは、全く違う感覚だ。
速度こそ宇宙の時よりはだいぶ劣るものの、見ている対象が近い分、わずかな動きで景色はがらりと変わる。
私は夢中になって飛び回っていた。
そう、私は今、鳥の姿になって地球の空を舞っている。
季節はまだ冬。凍り付いた空気が私の体を急激に冷やしていく。
ただ、その冷気すらも、暖かい太陽の日差しとともに高まる鼓動を抑えることはできない。
私は長い間、ミカエルと一緒に飛んでいた。
「ありがとう!楽しかった!」私は精霊のルミエルに声をかけた。
「あら、もういいの?」ルミエルが私とミカエルの体を元に戻した。
「とても気持ちよさそうに飛んでたね。喜んでもらえて何より」
私の持つ人形は、小鳥まで小さい体にすることはできなったが、
精霊のルミエルは、さらに小鳥のサイズぐらいまで小さくすることができるみたい。
海の見える丘で、空を眺めていたら、ルミエルは小鳥の姿に変えてくれた。
私たちは、ルミナスで水遊びをした後、観察も兼ねて地球に来ていた。
以前からモニター越しに観察していた地球、私のお気に入りの星。
「次は、地球に行こう」と言ったら、みんな喜んでついてきてくれた。
一応、皆、この地球の少女の格好をしているから、不審な目で見られたりしないよね?
「メモリナとルミエルは空を飛んでみなくていいの?心地いいよ」
「私は、何度も経験しているから大丈夫」
「自分は、機械を飛ばすことがあるからね。機械の目になることもできるから」
とっても心地いいのに、もったいない…。
いつもは子供の姿ではしゃぐルミエルが、今日は大人な対応。
もしかして、一連の事件で心が成長したのかな?
力いっぱい飛んだ後、私たちは丘で、4人で並んで座っていた。
無限に変化する海の様子。
寄せては返す波の音。
こうして座って、景色を見ているだけでも、心が満たされていく。
二人が空を飛ばない理由もよくわかる…。
「次は、ご飯でも食べに行きましょうか?」
「私、甘いものがいい」ルミエルが真っ先に子供の姿になって言った。
前言撤回、成長したのではなくて、ルミエルはやっぱり精霊、気まぐれなようだ。
「じゃあ、次は、町巡りね!」
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