第三十一話 城の中の様子
城の内部は、展示会のようだった。
多種多様な生命体がガラス張りの部屋に閉じ込められている。
入り口付近にいる人たちは、多分、この星の原住民だろう…。
一部、この星の正装と思われる服装をしていて、足元には土の汚れがついている。
庭の手入れをしているのは、おそらくこの人たちだ。
今は、来客がくるってことで、閉じ込められているのかもしれない…。
人たちの隣の部屋は、合成された生命体が並んでいる。
中には見るのもおぞましい雰囲気を漂わせている生命体もいる。
他の生命体の表情への理解は私にはできないが、痛そうな物悲しい表情をしているように見える。
まちがいなく、実験として“使われて”いる…。
合成獣の奥には、体の大きな生命体だ。
体の大きい、マンモス、恐竜をはじめドラゴンがところ狭しと並べられている。
精霊のルミエルは、苦痛の表情を浮かべていた…。
ちょこちょこと歩き回っては、声をかけている。
「ごめんね。すぐに開放してあげるから…、もう少しだけ待っててね…」
「もうすこしの辛抱よ…。すぐに自由にしてあげるんだから…」
一通りルミエルの行動を見守った後、私たちは中央にある二階への階段を上った。
二階は、神の体も使われた合成獣のようだ。
思念体など通常の体を持たない生命体も合成に使われている。
それぞれの最高部位をくっつけた最高傑作とでも言いたいのだろう、広いスペースでこぎれいに飾られている。
今度はホープ様も、それぞれの合成獣に声をかけた。
「もう少しだけ待っていてください…。すぐに解決しますから…」
ホープ様とルミエルが一通り声をかけ終わると、私たちは、3階への中央階段を上り始めた。
とても広い玉座の間だ。照明、絨毯、飾り、多くの装飾品がちりばめられている。
王の椅子に座っているのが、ヴァルグレアだ。
そしてその横には合成獣が横になっている。
合成獣は基本的にドラゴンで構成されているようだ。前足を前において首を前足に乗せている。
背中には“未来予知”の神、オルディアの上半身が、ドラゴンにのるように、合成されている。
合成獣のしっぽは複数ついている。強大な恐竜のしっぽが複数合成されているみたい。
そしてオルディアの頭には思念体が合成されている。
2階の合成獣よりもそれぞれ、一回りも二回りも大きい。
「ようこそ。玉座の間へ。
ここへ招待したのは君たちが初めてだ。ゆっくりしていきたまえ。
これが、完成系のキメラだ。心してかかるがよい。
すぐにやられるでないぞ。興が覚めるのでな…」
ヴァルグレアの言葉に、合成獣キメラは起き上がり、私たちの前に立ちはだかる…。
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