第二十五話 クロノヴァの権限剥奪
昨日今日と新聞が届く時には中央区画に着くように、事前に小型ロボットを飛ばしている。
昨日は無駄になったが、今日はもしかしたら功を奏すかもしれない。
今日の新聞が届く。広く全体を見渡し、一つの気になる記事を見つける。
「時の規律クロノヴァ不正疑惑により権限剝奪」
もし、時間操作の権限を管理する“時の規律”のクロノヴァが一連の事件に関係していたら、今日こそ天界の時間が巻き戻る可能性が高い。
私は、すぐにホープとミカエルに伝えた。天界でもすでに騒然とし始めている事が、画面越しに伝わってくる。
記事によると、クロノヴァはお金を受け取り、不正に時間制御の権限を付与した疑いがあるらしい。
天界では、仕事の種類により支給されるお金の種類が変わる仕組みを採用している、
クロノヴァが保有するお金の種類により、不正を依頼した神も特定されるかもしれないと記事には書いてある。
中央区画にすでに到着している小型ロボットの様子を遠隔で見てみる。
案の定、小型ロボットに持たせたタブレットが、大きな神の力を検知し始めている。
そして、場所も特定したみたいだ。場所は“ヴェルティア”という神の家。
“ヴェルティア”、新しい名前だ。名前だけでも記載しておけば後からいくらでも調べられるだろう。
私は簡単にまとめ、投稿ボタンを押した。
第三章 神界光記 完
ここは、中央区画にあるヴェルティアの家。
ヴェルティアは、特に何をするでもなくいつも通り怠惰に過ごしていた。
ソファーに座りくつろいでいると、突然無線機が現れ、自分を呼び出しているみたいだ。
「なんだ?この無線機は?どこから現れた?」
ヴェルティアは、怠惰な日常を壊されたことに苛立ちを覚えながら、気まぐれに退屈しのぎとして無線機を手に取り応答する。
「誰だ?何の用だ?んっ?時間を戻せだと?何言ってんだ、そんなこと俺に出来るわけ…」
言葉の途中でヴェルティアは、急に表情を失った。
目はうつろに遠くを見ており、いらだちを表す顔の緊張が解け、無表情になる。
さっきまでは、横に寝そべって座っていたのに、今はきちんと座りなおしている。
「はい、生命コンテスト前日に。はい、わかりました」
ヴェルティアは、手にしていた無線機を無造作に放り投げると、指を鳴らした。
本来封印されているはずの神の力。
天界では絶対の禁忌とされる、天界の時間を巻き戻す神の力。
そんな神の力が、ヴェルティアの意思とも無関係に発動していく。
神の力が、天界を大きく包み込む。天界の時間が巻き戻り始めた…。
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




