第二十四話 魔王の神話
今日の神界光記が届いた。事件の類は見当たらず、代わりに“魔王神話”の特集が組まれていた。
今から150億年ほど前、神と悪魔が争っていた時代に、5柱の神様が魔王を倒したとされる神話。
流浪の旅人と共に宇宙を転々としていた時に、似たような話をたびたび聞いていた。
ただ、どれも作り話かよくあるおとぎ話のように感じていた。
天界で伝わっている“魔王神話”――とても興味深い…。私は記事を読み進めた。
記事は当時の天界の様子から始まっている。
今の宇宙がまだ無かった時代、天界と魔界はかなり接近していた。
天界では、共存社会が生まれつつあり、平和、生産、分配により少しずつ発展していった。
一方、魔界では、徐々に競争が激しくなり、戦争、破壊、強奪が横行していた。
そんな魔界で強大な魔力を持つ存在が生まれた。名はヴァルグレア。
ヴァルグレアは、自身の持つ強大な魔力で魔界の統一に成功すると、そのままの勢いで、天界を侵略し始めた。
日々平和に暮らしていた天界の神々と、日々戦争により競争していた魔王率いる悪魔たち。
魔王の魔力は神を上回るものの、悪魔には負けることは無いと考えていた神々は、認識を改めることになった。
悪魔たちは度重なる戦争により数は少なかったが、それぞれは神々を超える強い力を持っていた。
次第に魔界に侵略されていく天界。
そんな魔王に対抗したのが、5柱の神々であった。
ある神は魔王を観察し弱点を探り、
ある神は魔王を撃退する方法を研究し、
ある神は規律により他の神々を統制し、
ある神はそれぞれの神の補助に徹し、
そしてある神は魔王に干渉し対抗した。
当初劣勢だった神々は、5柱の力により少しずつ巻き返し、ついに魔王を打ち破る。
そして、魔界を追放し、天界から遠ざけた。
その後、魔界に一時劣勢に立たされた天界の神々は、反省の念を込め、5柱を天界の中心に添え、
観察・干渉・規律・補助・研究を司る神とし、天界の仕事の基礎を作ることになる。
記事の最後には、こう記されていた。
「以上が、現存する最古の神話、神々と魔王の戦いの神話である。
今の宇宙ができて以降、新たな魔王が生まれることもなく、魔王の存在は確認されていない」
今まで聞いてきた神話とは全く異なっていた。具体性が増しており、信憑性は高いように思える。
しかし、同時に、現在の仕事の分類の祖となっている点は、ご都合主義の作り話のようにも思える。
私は、天界に伝わる魔王の神話として、全てを記憶した。
昨日に引き続き、今日も何事もなく終わりそうだ。
普段と違うのはホープとミカエルが天界の人々と打ち合わせをしていることぐらいだ。
本当に、時間の巻き戻りなんて発生するのだろうか…。
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




