第二十三話 オルディアの失踪
今日も、天界新聞が届く。
記事を投稿する私が一番先に新聞を手にする。
昨日の生命コンテストの記事が多く記載されている中、一つ天界の事件が載っていた。
“未来予知”のオルディアの失踪という短い記事だ。
私は、すぐにホープやミカエルに記事を伝えた。
そして、小型ロボットに神の力検知用のタブレットを持たせ中央区画に飛ばす。
もし、時が戻った場合に、少しでも正確な場所が検知できるといいのだが…。
軽い緊張の中、一時間が経過した。何も起きない。
小型ロボットは、とっくに中央区画に到着されている。
執務室の緊張が徐々に緩和してくる。
いつでも投稿できるようにと身構えていたが、もしかしたら何も起きないかもしれない。
私は、失踪についての記事を読み進めた。
オルディアの失踪
“未来予知”で見た新聞の内容と、実際の新聞の内容を比較する“未来予知”を仕事とするオルディアが生命コンテスト後、行方不明であることが分かった。
詳細は現在調査中。オルディアは天界で唯一“未来予知”を許された神であり、天界への影響が懸念される。
最近知ったばかりの“未来予知”の仕事、そして、その仕事に従事するオルディアの失踪…。
時間が戻らなかったことを考えると、オルディアの失踪は無関係なのか、それとも好都合なのか、
いや、もしかしたら、実行犯側が誘拐した線も考えられるだろうか…。
時間もあるようだし、他の記事も読み進めた。
目についたのは生命コンテストの記事だ。
生命コンテストは、「相手の希望する姿かたちに変わる生命体」が、観覧者の圧倒的な支持により優勝したらしい。
親になったり、お金になったり、美人になったり、美男子になったり、確かにみていて全く飽きなかった。
私たちが見ている間、多くの観覧者がずっと増え続けていた。私には納得の結果だった。
その他の生命の順位も載っていた。ホープの「8匹の七色のカエル」は、中間よりちょっと上ぐらいの順位。
「ちょっとインパクトに欠けるよね…」とホープは残念がっているのを、隣で見ていたミカエルは、
「時間がなかったから仕方ないですね。また、次、頑張りましょう」と励ましていた。
今日は、緊張する時間もあったけど、基本的には何もない穏やかな一日だった。
天界との打ち合わせを見ている限り、天界側もほとんど進展してはいないみたい。
充電するため帰還を指示していた小型ロボットも戻ってきたし、今日はもう何もなさそうだ。
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