第二十二話 生命コンテストとメモリナ
今日は一日中、神の力を検知するタブレットを手にしていたが、大きな力は検知せず、生命コンテストは終わった。
私は、記憶装置に格納された今日の映像データを解析しながら、投稿用の文章を書いている。
「あっ、ミカエル!」
「あっ。メモリナ、待ってたわよー。ホープ様とルミエルは今、先に展示まわっているところ。
新聞、問題なさそうだった?」
「あぁ。届いた神界光記、確認したけど何も問題はなかった」
「シンカイコウキ?」ミカエルが疑問符を浮かべた。
「あっ、いやいや天界新聞の事」天界新聞の事を神界光記と認識しているのは自分だけのようだ。当たり前か…。
「ふぅーん…」ミカエルはまだ納得いっていないようだ。
「あっ、メモリナ!」ホープとルミエルが戻ってきた。
「新聞どうだった?」
「あぁ、特に問題なかった」
「よかった!じゃぁ、私たち展示番するから、あなたたち見てきなよ。結構、楽しいよ!」
「はい!では、行ってきます。メモリナも早くいこ!」
ミカエルが私の手を強く引っ張る。とても楽しみにしていたようだ。
いつもより、はしゃいでいるように見える。
やはり、記事にもなっていた3つの展示に人気が集中しているみたい。
昨日の記事を思い出しながら見ると、より感慨深く感じられる。
でも、一番気になった展示は、他にあった…。科学技術班のジェノヴァの展示。
展示の中で一番大きい生命体の展示、今回は、恐竜だった。
他の展示は、過去の投稿と全く同じだった中、一つだけ、全く違う展示をしていると大きな違和感を感じる。
なぜだろう…。私は、少し理由を考えてみた。
一つ目は、バタフライエフェクト。少しの差異が大きな違いを生んでしまう現象。
考えられなくはないが、ライオンが恐竜に変わるだろうか…。
もう一つは、生命体を探す星自体が変わったってこと。
生命コンテストの直前に一番大きい個体を探していたが、星自体がだいぶ変化していたため、一番大きい個体が変わったってことだ。
天界とそれ以外の星では時間の流れが大きく違う。天界では5日程度でも、星では一万年経過していることもありえる。
星で一番大きい個体がライオンだったのが、一万年後に恐竜に変わっていても全くおかしくない…。
「一応、あり得るか…」ミカエルがつぶやいている。どうやら同じことを考えていたみたいだ。
その後は、ミカエルは生命コンテストを思いっきり楽しんでいた。昨日までの真面目な雰囲気はどこにもない。
ミカエルは緊張から解き放たれたかのように、無邪気な顔で楽しんでいる。
以前投稿されていた、ミカエルの投稿では、もっと控えめな記載だったように思う。
もしかしたら、私は姉のように信用されているという事かもしれない。
おそらく、明日からも打ち合わせばかり…。今日ぐらいいいのだろう。私も、全力で付き合ってみよう。
「あー。楽しかった!」家に戻ってきても、ミカエルは顔が緩みっぱなしだった。
いつもと違うミカエルの様子につられて、ホープやルミエルも笑っている。
唐突に、執務室に置いてあったタブレットから呼び出し音が鳴る。
ミカエルは急に真顔になって打ち合わせに参加する。
急な変化にホープやルミエルは若干戸惑うも、日常に戻っていった。
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