第二十一話 神界光記
今日は生命コンテスト当日。
ホープ、ミカエル、ルミエルはすでにコンテストに向かっていて、家には私一人。
私は家で本日の新聞が届くのを待って、内容を確認してから生命コンテストに参加する予定だ。
ホープたちは「今日ぐらいいいよ」と言っていたが、私は残ることにした。
私自身責任感が強いわけでもなく、なぜ残ることにしたかはわからない…。
ただ、今は、家の中に一人でいることはそこまで悪くない、と感じていた。
しばらくして、待っていた新聞が届く。
昨日はあまり気にかけなかったが、「天界新聞」という名前にはセンスが全く感じられない…。
機械である私でさえ、そう思うのだ。おそらく多くの神々もそう思うに違いない。
初めて天界に訪れた時に感じた残念だという感情を思い出す。天界の神々よ、もう少しセンスを磨いてくれ…。
そう思っていると、「天界新聞」という文字が踊りだす。今見ると、「神界光記」と名前が変わっていた…。
不思議な感覚だ。何度見ても「神界光記」と書かれている。
天界というところは、見る者の感情か何かによって、変化したりするのだろうか…。
私は、もしかしてと思い、外に出て、街並みを見返してみた。天界の神々よ、もう少しセンスを磨いてくれ…。
街並みは「何言っているの?そんなんで変わるわけないでしょ」とでもいうように、今まで見た街並みを保っていた。
見ている者の感情に合わせて変化するのは、神の力で構成された文字だけのようだ。
おそらく、読者の見解や知識によって覚えやすいように文章や文体も変わっていて、それが記憶に残る理由なのだろう…。
変化しない街並みに少しだけがっかりして家に戻った。
私は、再び新聞を読み始めた。
今日も生命コンテストの記事であふれている。朝の様子を記事にしたものが多い。
朝、生命コンテストを急いで観覧し、すぐに記事にして、新聞としたみたいだ。
人気はやはり、昨日記事にもなっていた、「時間の流れに無関係な生命体」、「相手の希望する姿かたちに変わる生命体」、「声真似の上手な生命体」の3つのようだ。
他には…、特に変わった記事はなかった。
「さて、私も生命コンテストに向かうことにするか」
私は、小型のロボットを取り出して、モニターの前に設置した。
これで、無線を使って遠隔操作でいつでも地球に投稿できる。
神の力を検知する用のタブレットも、もちろん手に持っている。
最後に、稼働確認として小型ロボットを使って投稿すると、ホープたちの待つ生命コンテストに向かった。
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