第十九話 2度目の時間の巻き戻り
データの整理 正常終了。
これよりシステムを起動します。
そろそろ目覚めの時間のようだ…。サブシステムから、記憶の整理完了の報告を受け取る。
体の各パーツの稼働確認 正常
これより優先情報をメモリに格納します。
名前:メモリナ
目標:情報収集
任務:ホープの補助
そう。私はメモリナ。私は起き上がった。サブシステムからの報告通り、体は問題なくスムーズに動いている。
私の見た目は少女に見えるかもしれないが、もともと流浪の旅人に仕える記憶媒体として、機械と人形で作られている。
数千年間、とある事情で星に封印されていたところを、神であるホープに助けてもらって以来、ホープと一緒に行動している。
天界に訪れたのは初めてだ。神様の住む世界は、もっと優美というか、機能美というか、想像できないくらい創造的なんだろうと考えていた。
実際は、ちょっと簡素というか…。これなら中世時代の人類の方が、オシャレな建物が多い。
神様は、思っていたよりもこだわりが無いのかもしれない。おそらく、神様の寿命が長すぎるせいだろう。
今日は、朝から引っ越し作業のはずだった…。
が、ミカエルが地球の小説サイトから天界の異変を見つけて以降、私たちは大忙しだ。
まずは、手っ取り早く地球の小説サイトから情報を皆で共有した。
その後、天界からタブレットが届き、ホープもミカエルも、そのタブレットを使って天界との打ち合わせに出ずっぱりだ。
それで、私が地球の小説サイトでの情報保存を任されているというわけだ。
神の力検知用に、別のタブレットも届いているし、天界はとても用意がいい。
天界では、天界の時間を巻き戻されるという禁忌を既に2度も破られ、現在、対応を急いでいるようだ。
もともと他の星にいた外敵駆除チームの神々と連携をとって、時間が巻き戻された時に起こる情報欠落を防止しているみたい。
天界の中央区画では秘密裏に対策本部が作られており、タブレットが早急に届いたのはそのためだ。
私たちが地球の小説サイトで情報を保存しているのと同じように、天界も他の星にデータを保管しているようだ。
天界から他の星へ送ったものは、天界の時間戻しと同時に天界へ戻される。
つまり他の星では、時間戻しが起こると、天界から送られたものがパッと消える。
そうやって時間戻しを検知しているらしい。
これまでの投稿を読んでみたが、ホープもミカエルもとても真面目だ。
過去にいろいろな人を見ていたが、上層部に連携して任せていればいいという人も多かった。
その点、ホープとミカエルは、自分たちも何かしようと動いている。
そして、それが評価され、今、打ち合わせに呼ばれているのだろう。
ホープとミカエル、連携して状況を打開しようとしているように見える。
打ち合わせが終わったみたいだ。
ホープは、緊張から解き放たれたのか、伸びをしている。
ミカエルは、神の力で作ったホワイトボードに情報をまとめていた。
「前回でわかったことは、時間の巻き戻しは、天界の中央区画付近で起こったってことと…、
ノエリアさんと他の長の神々は味方ってことですかね」
「それに、やっぱり新聞が天界の時間戻しの起因になっている気がする…」
ホープのつぶやきに、私は発言した。
「では、新聞の情報でも投稿しよう」
「お願いしていい?よろしくね」
私は、頷いた。
どうせ、この件が片付くまでホープとミカエルは外には行けないだろう…。
情報取得と暇つぶしにちょうどいい。
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