第十八話 新聞は届いた
今日は、ヴァルナスが捕まったって新聞が届くはず。時が戻る可能性に、緊張感がある。
ノエリアさんからもらったタブレットが、ピピピと鳴った。
ノエリアさんから説明はなかったけど、どうやら通信機器でもあるみたい。
私は、あたふたとタブレットを操作した。
「私は、レグルス。ホープかミカエルはいるかい?」
「あっ、つながったみたい…。はい。私はホープです」
「ノエリアさんから、その端末を渡したと聞いてね。連絡してみたんだ」
「このタブレット、連絡する機能もついてたんですね…。ちょっと手間取っちゃいました…」
「ふふっ。すぐ慣れるよ。それより、ノエリアさんに会ったんだろう。順調そうじゃないか」
「まぁ、そうですね…。それより、ヴァルナスを捕まえたみたいですね」
「あぁ、もしかしてミレイユさんに聞いたのかな。その通り、今日の新聞で記事が載るはずだ」
レグルスさんの現状を教えてくれた。
天界では内密に、この事件の対応本部が作られているらしい。
それで今は、対応本部の設営が終わり、それぞれの長をとりまとめているみたい。
その際にノエリアさんから端末の話を聞いたってことね…。
レグルスさんって、ヴァルナスを捕まえる仕事を請け負っていたし、もしかして特命のすごい人かもしれない…。
「近く、ホープやミカエルにも手伝ってもらうことになるかもしれないから、そのつもりで頼むよ」
「え、あ、そうなんですね…。わかりました。覚悟しておきます…」
「多分、そこまでかしこまる必要はなくて、簡単なものになるから、安心していいと思う。では、また」
実際に簡単なものなのか、それとも、安心させるための言葉だったのかわからなかったが、そこで通信は終了した。
タブレットを使いこなせるよう、私は使い方をモニターで確認していると、今日の新聞が届いたみたい。
「はい、どうぞ」早速ミカエルが渡してくれる。
「ありがとう!」
私はすぐに、タブレットを置いて、新聞を軽く見渡す。あった、この記事だ…。
「科学技術班ヴァルナス不正合成により権限剝奪」
レグルスさんが単独で、ヴァルナスの家に乗り込み、不正の痕跡を確認、捕まえたみたいだ。
そのため、今までヴァルナスが持っていた、生物、思念体への干渉の権限が剝奪されたということらしい。
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、……。
突然、タブレットから音が鳴り響く。アラート音。以前聞いたこともあり、アラートだとすぐ気がついた。
ミカエルとタブレットを確認する。
「大きな神の力を検知しているようですね…。場所は、遠くて断定できていないみたい…」
場所は中央区画のどこか…、大雑把でも記載すると私は、一旦投稿ボタンを押した。
第二章 天界に異変が起きてます。 完
天界の一室。
新聞を読む神。
「また、ヴァルナスのやつ捕まったのか…。次は捕まらないように言いつけておこう…」
指を鳴らす。
天界上層部だけが持つ無線機が出現する。
「捕まったやつがいる。時間を巻き戻せ…。また、前と同じ時間に戻せ…。
あっ、すまない、前の時間を覚えているわけなかったな…。生命コンテストの前の日に戻せ…」
再び、天界の時間は巻き戻っていった…。
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