第十話 天界に異変が起きてます
私は、地球で生命コンテスト用の生き物を捕まえて、家に戻る。
「ただいまー」
メモリナとルミエルから「おかえりー」と聞こえてくる。
ミカエルは、少し不安そうな様子で声をかけてきた。
「お帰りなさい…。生命コンテストで用意した生き物って、もしかして『カエル』ですか?」
「あっ、そう。よくわかったわね。言ってたっけ?白と合わせて8匹の七色のカエル」
「ちょっとこの小説読んでみてくれませんか…?」
メモリナとルミエルも不思議そうに集まってきた。
すぐに読み終わり、ミカエルに聞いてみた…。
「もしかして、お隣さんって、レグルスさんとミレイユさんだったりする?」
「はい。会話の内容まで同じでした…」
「で、ミレイユさんは人形だったと…」
ミカエルは黙ってうなずいた…。
「気になるわね…。まだ、夕方だし、お隣さんに挨拶に行ってみようかしら…。
この小説の通りだと、すぐ戻ってくるって書いてあるし…、すでに戻っているかも…。
審律官だし、ヴァルナスを捕まえているみたいだし…、悪い神ではないよね…」
「それがいいかもしれないですね…」ミカエルは頷いた。
私は、ミカエルと一緒にお隣の家に向かう。もちろん人形に認識されるように体の構成は変えた。
玄関でベルを鳴らし、声をかける。
「こんにちは!隣に越してきたホープです!」
ミレイユさんが玄関先に出てくる。
「こんにちはー!ホープと申します!」
「あら、ミカエルさんと、こちらがホープさんね。よろしく!レグルスさん、お隣さんが来ましたよ」
神様が出てきた。この神様がレグルスさんのようだ。
「はじめまして、お隣に引っ越してきたホープとミカエルです」
「わざわざどうも、私がレグルスです。これからよろしく」
「突然ですが、少しお時間よろしいですか?確か審律官ですよね…。ちょっと相談したいことがあって…」
挨拶の時には、口に出していなかった「審律官」という言葉に、レグルスさんは少し異常事態を感じ取ったみたい、ミレイユさんを先に家に帰した。
私たちは、簡単に事情を説明し、家に招いて地球の小説サイトを見せた。
レグルスさんは読み終わって、少し考えた後、話し始めた。
「天界の時間の操作は禁忌事項の決まりなんだ。上層部ですら信用できない可能性がある…。このことを他の神々に報告・相談するのは控えてもらえるかな?」
私たちが頷いたのを確認すると、レグルスさんは、話を続けた。
「自分は、信用できる人に確認してみる。よかったら、また明日、話そう。情報提供ありがとう」
よかった…。信頼できる気がする…。
レグルスさんが帰った後、皆で集まって話し合った。
「一旦は、みんな秘密ね」皆が軽く頷くと、私は話を続けた。
「今の状況をミレイユさんと同じように投稿しておけば、天界の時が戻った時に参考になるかもしれない…。
こまめに投稿しておくといいかもしれないわね…」
「いいですね。時間が戻ったとしても、私がすぐに気づけるよう、タイトルも「天界に異変が起きてます」にしちゃいましょう!」
「いいわね、それ!」
ミカエルの面白い提案に、私は乗っかることにした。
今のところ、疑わしい神は、捕まったことで時間が戻るきっかけになった可能性のある、科学技術班ヴァルナスって神。
それと、時間を戻した実行犯がいる。今のところは、それぐらいかな…?
今回は、地球の時間が巻き戻っていないことが幸いして気がつくことができた。
逆に言うと、天界以外の時間を一緒に巻き戻すことはできなかったってことだと思う…。
天界上層部全体を掌握しているってわけではないってことかな。
レグルスさんも味方だと思うし、それほど恐れる必要はないのかもしれない…。
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