第一話 ミレイユ
私は、ミレイユ。神様のお使いの天使をしてるの。
そして、ここは、中央区画と呼ばれる天界を司る中枢――ではなく、そのお隣区画にあるちょっと大きめの家。
家には、広い執務室と広いリビング、神様の個室、そして、私の部屋。
白が基調でシンプルな作りの家で、神様の家としてはいたって普通といったところかしら。
本当は中央区画の豪華な豪邸の方がいいけれど、このお隣区画もそれなりにデパートとか発展しているし、まぁ及第点ってとこね。
執務室には、やっぱり白い大きな丸いテーブルが一つに、椅子が四つ。
モニターは大きいモニターが二つと、神様の分と私の分の計四つ。
家具は最低限っていう、最近天界で流行しているポリシーの通りね…。私には少し物足りない…。
ここは、最近新しく雇われたお使いの天使である私の腕の見せ所ね。
少しずつでも、きれいにしていかなくちゃ。
ふとテーブルを見ると、封筒が届いてる。
中身を確認すると、いつもの調査依頼みたい。
「いつもの調査依頼が来ましたよ。地球っていう星の調査みたいですね」
「あ、ありがとう!では、私は調査に行くから、いつも通りよろしくね」
「はい、おまかせください」
神様は、自室に戻ると地球って星にテレポートしていった。
そして、私はその様子をモニターで確認するのが、今の私の主な仕事。
お使いの天使の仕事としてはまぁ、簡単な方ね。
モニターで神様の様子を確認していると、窓からお隣さんの家が視界に入る。
最近建てられたお隣さんの家。半球状の形をしていて、二階にはベランダもあり、遠目に見ても、とてもオシャレ。
この区画は中央区画に近い事もあり、それなりにオシャレな家が多いんだけど、その中でもお隣さんは洗練された方なんじゃないかしら。
最近天界ではだんだん美的センスが向上しているみたい――だから、新しい家の方が、オシャレなのは当たり前ではあるんだけど、ちょっとうらやましい。
いいなぁ、私、お隣さんのお使いの天使がよかったかなぁ…。
あら、誰か来たみたい。
玄関から出てみると、あれっ?誰もいない?
辺りを見回していると、白と黒の少し地味目なメイド服を着ている女の子が、急に目の前にいた…。見逃していたのかしら…。
「こんにちは!お隣に引っ越してきたミカエルと申します。
本当は私の神様、ホープ様もつれてきたかったんですけど、今、生命コンテストの準備でこれなくて…。
また、今度一緒にきますね」
「私はミレイユ。うちの神様、レグルスさんっていうんだけど…、ちょうど今、仕事で出ちゃって…」
「あっ、そうなんですね。これからお隣さん同士、よろしくお願いします!それと、よかったら、これどうぞ」
「あら、ありがとう!こちらこそ、よろしくね」
お隣さんは、お引越しで忙しいみたいで、お引越しご挨拶用の品を渡すと「では、また今度!」と帰っていっちゃった。
受け取った品を開けると、お紅茶だった。お高いものではないけれど、とてもセンスが感じられる一品だ…。
とても感じのいい子だったわね…。私も頑張らなくっちゃ…。
そういえば、生命コンテストの準備って言ってたわ…。うちは参加するのかしら…?
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