センター試験を終えて
運命の日の前夜、持ち物の支度を終えた私は、日付が変わるのを待たず、眠りについたのだった。
目覚め―それは眠りからの覚醒というより、誕生と呼ぶべきであったかもしれない―に際し、私の全身の細胞が震えるのが分かった。来たるべきこの日が楽しみでたまらないのだ。
会場に至るまでは、苦難の連続であった。昼食を調達しようと立ち寄ったコンヴィニエンスストアの駐車場は見事なまでに凍結して、私が入り口に辿り着くのを拒んだ。利き手の手首を軽く捻り、逆の腕のヒジを痛めた。それでも、負けるわけにはいかなかった。
戦いが始まった。私は記憶の鎖を辿りながら、一つ一つ、地道に難敵を倒していった。一日の終わり、今まで見たことも無いような美しい星空の下、一粒の涙が虚空に消えた。
私は再び眠りについたが、眠り続けるのを許してくれるほど、世界は優しくなかった。そう、決戦は二日にも及んだのだ。気の遠くなるような長い時間の中で、私は多くの敵と出会った。私にとって、それら一つ一つとの出会い、そして別れが大切なものであった。「どれだけ倒せたか」よりも「どれだけ記憶に留めたか」が大切なのかもしれない。
この決戦の結果が私たちの人生を左右することはあれど、私たちの価値を決めるには至らない。加えて、真の大戦はまだ先にある。私はその戦いに向けて力を貯えるため、ここで筆を置く。




