第七話:輝きの展望台と愛の落下
「ロボ美ちゃん、次はあそこに行こう!」
光は、公園を出て、ネオ渋谷のシンボルタワーを指差した。
「あれはネオ渋谷タワー!」
ロボ美は、目を輝かせた。
ネオ渋谷タワーは、地上500メートルを誇る、ネオ渋谷のシンボル的な存在だった。
「ああ、ネオ渋谷タワーだ!あそこの展望台からは、ネオ渋谷の街を一望できるぞ!」
光は、興奮気味に説明した。
「街を一望ですか?」
ロボ美は、まだよく理解できていない様子だった。
「よし、じゃあ、行ってみよう!」
光は、ロボ美の手を引き、ネオ渋谷タワーへと向かった。
ネオ渋谷タワーの展望台は、多くの観光客で賑わっていた。
「わあ、すごい」
ロボ美は、眼下に広がるネオ渋谷の街並みに目を奪われた。
「どうだ、ロボ美ちゃん!これが人間の創造性の結晶だ!」
光は、両手を広げて街並みを紹介しようとした。
その時、光は、展望台のガラス張りの床に気づき、足がすくんでしまった。
「ひぃぃぃ!」
光は、悲鳴を上げ、床にへたり込んだ。
「社長!?」
豪は、光の様子に驚き、駆け寄った。
「だ、だめだ足が足が動かない」
光は、顔面蒼白で、床を這うようにして後ずさった。
「まさか高所恐怖症ですか?」
豪は、呆れたように言った。
「そ、そんなはずがない! 俺は白銀 光このネオ渋谷にそびえ立つ白銀タワーの!」
光は、必死に言い訳しようとしたが、恐怖で声は震えていた。
ロボ美は、光の様子をじっと観察していた。
「光さん怖いんですか?」
ロボ美は、光に尋ねた。
「こ、怖いわけがない! 俺は俺は!」
光は、虚勢を張ったが、目は泳いでいた。
「光さん、大丈夫ですよ」
ロボ美は、光に優しく声をかけた。
そして、ロボ美は意外な行動に出た。
ロボ美は、光の目の前に立ち、両手を広げた。
「光さん、目を閉じて私の手を握ってください」
光は、ロボ美の言葉に従い、目を閉じ、ロボ美の手を握った。
「さあ、深呼吸をしてリラックスしてください」
ロボ美は、光に優しく語りかけた。
光は、ロボ美の言葉に導かれるように、深呼吸を繰り返した。
すると、不思議なことに、恐怖心が少しずつ和らいでいくのを感じた。
「ロボ美ちゃん」
光は、目を閉じたままで、ロボ美にささやいた。
「はい?」
ロボ美は、優しく答えた。
「ありがとう」
光は、心から感謝の気持ちを伝えた。
そして、光はゆっくりと目を開けた。
「あれ?」
光は、驚いた。
さっきまで感じていた恐怖心は、すっかり消えていた。
「治った?」
光は、信じられないといった表情で、ガラス床を見つめた。
「すごい! ロボ美ちゃん、どうやって? 」
豪は、ロボ美に尋ねた。
「私は人間が恐怖心を克服する時に使う方法をデータベースから検索して光さんに実践しただけです」
ロボ美は、冷静に答えた。
「データベース」
豪は、言葉を失った。
光は、ガラス床に恐る恐る足を踏み出した。
「大丈夫だ」
光は、ゆっくりと歩き始めた。
そして、ガラス床の中央に立ち、ネオ渋谷の街並みを一望した。
「なんて美しいんだ」
光は、感動した様子で呟いた。
「さすがは俺が作った街だ」
光は、すぐにナルシストキャラに戻っていた。
「まったく」
豪は、呆れたように笑った。