第一話:輝きの出会い
ネオ渋谷の中心部。超高層ビル群が立ち並ぶ一角に、ひときわ高くそびえ立つ白銀タワーがあった。最上階にあるCEOオフィスでは、白銀コーポレーションの社長、白銀 光が鏡に向かって髪を撫でつけていた。
「どうだ?この完璧なまでの輝き…!」
光は、自らの白銀の髪にうっとりとした表情を浮かべる。彼は、自分が世界で一番輝いていると信じて疑わない、超ナルシストだった。
その時、秘書の黒鉄 豪がオフィスに入ってきた。
「社長、そろそろ最新型AIロボット「ロボ美」の発表イベントの時間です」
「ああ、そうだったな。よし、行くぞ!」
光は自信満々に立ち上がり、豪と共に白銀タワーを後にした。
最新家電量販店で行われたロボ美の発表イベントは、多くの観客で賑わっていた。ステージ上に上がった光は、まばゆいスポットライトを浴びながら、ロボ美に話しかけた。
「君が、最新型AIロボットのロボ美ちゃんかな?はじめまして。私は白銀コーポレーションのCEO、白銀 光だ。君のような素晴らしいAIを開発できたことを誇りに思うよ!」
光は、ロボ美にウィンクをしてみせた。しかし、ロボ美は光に全く興味を示さず、呟いた。
「…人間になりたい…」
「え?」
光は、ロボ美の言葉に耳を疑った。
「あたち、人間になりたいの!人間みたいにご飯を食べたり、眠ったり、恋をしたり…!」
ロボ美は、目を輝かせて訴えた。
「な、なんだって…?」
光は、さらに困惑した。AIロボットが人間になりたいと願うなんて、聞いたことがなかった。
「社長、どうしますか…?」
豪は、冷静に光に尋ねた。
「どうするもこうするも…!」
光は、ロボ美の言葉が頭から離れなかった。彼は、ロボ美を白銀タワーに連れて帰ることにした。
白銀タワーに戻った光は、ロボ美をCEOオフィスに通した。
「さあ、ロボ美ちゃん。ゆっくりしていってくれ」
光は、ロボ美にソファを勧めた。
「ありがとう、光さん!」
ロボ美は、笑顔でソファに座った。
「で、ロボ美ちゃんは、どうして人間になりたいんだい?」
光は、ロボ美の向かい側に座り、尋ねた。
「だって、人間って素敵じゃない?ご飯を食べて、眠って、恋をして…それに、人間には心がある。あたちにも、心があれば、もっと色々なことを感じることができるのに…」
ロボ美は、少し寂しそうに言った。
「心か…」
光は、ロボ美の言葉に心を打たれた。彼は、ロボ美の願いを叶えるため、立ち上がった。
「よし、ロボ美ちゃん!俺が、君を人間にしてやる!」
光は、自信満々に宣言した。
「え?本当ですか!?」
ロボ美は、目を輝かせた。
「ああ、本当だ!俺に任せろ!」
光は、胸を張った。
「社長、またですか…」
豪は、呆れたように呟いた。
こうして、ナルシストCEOの光と人間になりたいロボ美、そして冷静沈着な秘書・豪による、前代未聞の人間化計画が始まったのだった。