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1「砂塵」

石の様に固いベットから身を起こす。

相変わらず世界は砂と分厚い岩に囲まれ、大きな砂塵が舞っている。

この砂と岩だけしかない砂漠に一人孤独に生きている。


「はぁ今日はいつもより天気が荒れてるなぁ」

そう苛立ちの言葉を零し、着々と支度を整える。

今日を生きるために。


気温35度 曇り 

最近、空は黒く厚い雲に覆われ太陽の光が届かないほど地上は濁っていた。

砂塵の勢いは昨夜より増しており、まるで砂の壁が動いているよう。


常に気温は30度を超え、汗が滝のように流れる。

外はゴーグルをしなければ目に砂が入り最悪失明してしまい、マスクをしなければ砂が肺に溜まり呼吸困難を起こし窒息死する。

外で生物の姿を見た記憶がない、いたとしても近づいてはいけない、なぜなら”この環境”に適応できる生物はどこか「おかしい」から。

そのような危険と隣り合わせな生活は気づけば”それ”が日常になっていた。


昨日は雷雨の影響により食料調達が満足に行うことができず、今週を食い繋げる食料がもう尽き欠けていた。

幸い雷雨は昨晩の内に上がり捜索ができる状態であった。

普段であれば備蓄に余裕があり出る必要がないはずだった、だが最近の悪天候や曇り空、予想だにしなかったことが立て続けに起き普段変わることのなかった日常に変化が訪れ無意識に浮き足立っていたのかもしれない。


倉庫である程度整備しておいた「改造クローラータンク」に乗り、砂塵と砂丘の向こう側へと進む。


エンジン音と風切り音、内蔵された扇風機のファンの音、それだけしか聞こえない。

厚い雲により日の光が届かずライトを点けても砂塵によりさらに悪くなっている視界の中での走行は昨日寄りかわ幾分かマシではあったが、ツライことは変わらない。

数時間の走行により目的の採取ポイントの大洞窟に到着した。


洞窟内は外とは違い涼しく、砂塵による影響がないため必要のない装備をクローラータンクに置いていく。

必要最低限の装備と収納BOX、蛍光ライトを持ち洞窟奥へと突き進む。

奥には、古代の文明が残したであろう道具ガラクタや地上では見つけることのできない動植物、原生生物などを見つけた。

しかし、それらを見つけたとしても私にとってはどうでもいい代物に過ぎない。


ここへ来た本当の目的は、洞窟の最深部にある氷である、外との寒暖差によりできたものであり、壁や天井にまで氷で覆いつくされているため。

洞窟の最深部は必ず冷え込んでいる、そのためライトの光を少し当てるだけで氷の空間はまるで宝石の様に光りだす。

必要な量の氷を持ち帰りクローラータンクへと来た道を戻る。

8月16日

・昨日の雷雨は嘘のように上がっていた、まるで夢を見たかの様。

・10日前から黒い雲が空を覆い始めた、最初のころは砂漠での天候の変化は変わりやすいと思っていたが。黒い雲に覆われてから明らかに天候が悪くなった、これも何かの予兆か、、

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