遊園地
今私の心臓はものすごい早さで動いている全身に振動が伝わってくる。いつの間にか図書室に駆け込んでいた。椅子に座るが振動と少しの震えがなかなか収まらない。とりあえず深呼吸をすることにした。何回も繰り返す。徐々にだがどきどきしていた心臓が収まってきた。
私佳那さんとキスをした?なんで佳那さんはあんな事してきたのだろうか?そうだただの悪ふざけだったのかもしれない。そうだ自分に言い聞かせた。
午後の授業は上の空だった同じ空間で授業を受けている佳那さんのことを思うだけで手に汗が出てくるノートがぬれるくらいだ。あの時の事ばかり思い出してしまうその日佳那さんとはそれ以上の接触はなかった。今日はバイトもない自転車で家路を急ぐ。帰ったらリビングのテーブルの上に置き手紙がおいてあった。(今日はお父さんもお母さんも仕事で明日にならないと帰れないから夕飯は冷蔵庫に入ってるから食べてね)と書いてあった。部屋にカバンを置いてお風呂に入る準備をする洗面台の鏡で自分の顔を見るつい唇に目がいってしまう鏡を見るのをやめすぐにお風呂の中に入るお湯のせいだけじゃない熱が体をうずまいていた。
布団の中にいてもあの唇の感覚、熱、匂いを思い出してしまう。今でも全身が熱い体がうずく。知らず下半身に手を伸ばす。しっとりと中が湿っていたただ濡れているだけではなくぬめりがあった。そのぬめりをそっと手ですくい突起に擦り付ける。何度も何度も擦る息があがってきたすると急に全身に快感がひろがる。
しばらく震えた後快感が消えて罪悪感を覚える。佳那さんとのことを思い出して、してしまった。自分が嫌になる。眠れそうもないテレビでも見よう。そういえばお弁当包みを多分資料室に落としてきてしまった。今度拾いに行こうすると急に佳那さんの声がしたcmだ。複雑な思いがまたわいてくる。テレビを消して布団に潜った。
「山本さん!」階段を上がっている途中で佳那さんの声がした振り返る。彼女の顔を見てまた複雑な気持ちが膨れ上がる。でも彼女は何て事なかったように声をかけてきた。「山本さんお弁当包み落としていったでしょ洗っておいたから」「…ありがとうございます」アイロンまでかけてくれたらしい折り目が整っている。「後わ~はいこれー!遊園地の優待券貰ったんだけど今度の放課後一緒に行くでしょ!」私が行くのが当たり前かのように言ってくる。そして私は断れないのだ。「…はいでも私でいいんですか他に仲の良い友達がいるんじゃ…」「山本さんが良いの他の人じゃダメ」ダメとはなにがダメなのだろう。「詳しいことはまた近くなったら言うから」「はい」「じゃあまたね」「…」あっという間に彼女と遊園地にいくことになってしまった。その日が来た佳那さんと遊園地に行く約束の日だ。一応その遊園地は東京と名乗っているが千葉県だ。ここからだと電車で40分くらいで到着する。授業が終わったら図書室で待っててと言われたがまだ彼女は来ない。今時間は16時半、突然図書室の扉がバッと開いた「ごめん山本さんマネージャーから急な連絡が入って」本当に申し訳なさそうに鈴木さんが謝ってきた「…大丈夫です」「ほんと!なら早く行こ!」鈴木さんはカバンに入っていた黒い帽子を目深に被る。「電車で行くんだもんね」もちろん電車には色んな人が乗っているから鈴木佳那だとバレないように帽子を深くかぶっているのだろう。彼女はタクシーで行こうと行っていたが私の今持っているお金だと全然たりない。
遊園地で遊ぶとなると夕飯やおやつ代がかかるかもしれないと思い電車で行きたいと言ってしまった。私のわがままで彼女には申し訳無いことをした。「鈴木さんごめんね」「えっ?なにが?」「あの、その電車で…」「あぁ全然大丈夫私撮影でロケ車で行くこと多いから逆に新鮮でいい制服でいくっていうのもいいしねふふっ」「さっ行こ」「はい!」特に騒ぎになることはなく無事に舞浜についた。でも何人かの人は気づいたみたいでじろじろと佳那さんの事を見ていた嫌な気持ちになった。やっぱりタクシーで来れば良かったのかもしれない親にタクシー代をすこし貰っておけば良かったのかもと思考がぐるぐる回る。佳那さんは全く気にしてないようだが。「わぁきれいふふっ山本さんも見てる?」「キレイですね」「でしょ!」噴水を見て喜んでいた。帽子を深くかぶっていて良く表情が見えないが声を聞くだけで楽しそうなのがわかる。
「そうそうあの人魚のアトラクションにのりたかったの!行こ!」腕を引っ張れる彼女に触れられた瞬間またあの時のキスのことを思い出してしまった。いけないと気持ちを切り替える。
そのアトラクションはクラゲのようにぷかぷか浮いたり下がったりを繰り返す。「うぁー気持ちいいなんかキラキラして可愛いよね」「そうですねふわふわして気持ちいいです」「そうだ後でポップコーン買おうよ一緒に食べよ」「はい」アトラクションが終わり外に出るもう日が暮れ初めていた。「ポップコーン早く買い行こ!」売店まで佳那さんは急ぎ足で歩く。
佳那さんそんなにポップコーン好きなのかなと考える。売店についた佳那さんは人魚の可愛い容器一杯にポップコーンをいれて貰っていた。
私もポップコーンを買おうとする。容器は高いのでポップコーンだけ買おうとしたら佳那さんが「山本さんは買わなくていいの私が買ったやつ一緒に食べよ」「でも」「いいの!一人じゃこんなに食べきれないもの」「ありがとうございます」「よしじゃあ口開けて」「えっ?」「いいから口開ける」「はい」私は少し口を開くキャラメルの味がした咀嚼し飲み込む「美味しい」「でしょ?ふふっ」「なんかアラビアテーマのアトラクションもあったよね行ってみない?」「はい…」少し恥ずかしかった。
アラビアをテーマにしたアトラクションまでゆっくり二人でポップコーンを食べながら歩く。
特に会話らしい会話もしてないが不思議と違和感はなかった。ふと佳那さんの指に目が行く右手の人差し指から血が滲んでいた。「鈴木さん指血が」「ん?ああこれはしゃいでたからどっか擦ったのかも」「近くにトイレがあるから指洗ってください私絆創膏は持ってます」「これくらい大丈夫でしょ」「ダメです!バイ菌が入ったら大変です!」「わかった洗うよ」
「急ぎましょう!」「鈴木さん指だしてください」トイレに着き彼女の血のついた指を水で血を押し出すように流す。「あーいたー」「少し我慢してください」洗い終わったあと自分のハンカチで指の水気をとる。忙いでバックから絆創膏を取り出し指につける。「ふふっありがと」「鈴木さん気をつけて下さいね」「うんわかったふふっじゃあアラビアに向かおっか」「はい」もうすっかり夜だアラビアをモチーフにした建物。幻想的な光が綺麗だった。「すごーい!良くできてるねきれー!」また興奮してるケガをしないか心配だ。だけどほんとに綺麗だアラビア風の建物の近くに三日月も出ていて雰囲気にあっている。「ねぇあのメリーゴーランド乗ろ!」二階建てのメリーゴーランドの二階にのるゆっくりくるくると回りとても楽しかった。「はーもう8時過ぎてる山本さん門限何時?」「9時です」「うそー!急いで帰らなきゃ!パレードは見れないね」「その…ごめんなさい」「全然いいよーそれより早く帰らないとご両親が心配しちゃう帰ろ!」
電車で帰路についた佳那さんが私の家まで送ろうかと言ってくれたが断った本当なら私が佳那さんを家まで送ってあげたかった。
今日はものすごく幸せな日だった。また一緒に普通に佳那さんと過ごしたい。幸せの余韻に浸った。