5話 ここは、どこですか。
高校2年の時だった。俺が霊を見えるようになったのは。
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俺は高校2年生の頃から霊が見えるようになってきた。
始めて霊を視認した話はかなりショボかったので割愛しよう。ネタが無さすぎて、いつか書くのかもしれないけれども。
オータニ先輩のせい───おかげもあるかもしれないのだが、一番の影響力は、古谷さんなのかもしれない。
古谷さんは、俺が高校2年生の時に出来た。女子の友達だ。女子の。
クラスで目立つイメージの方ではないのだが、顔は可愛い。よくまぁ、友達になってくれたね。
そんな、古谷さんの母親の実家が寺で、古谷さんもその系図からか、よく霊が見えることがあったらしい。
そんな、古谷さんが聞かせてくれた霊の話だ。
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古谷さんが母親の寺に行くと、たまに霊と遭遇することがあった。人を襲ってくるような怨霊なんかは出会わなかったらしい。普通はそうなのだろう。
{ここは、どこですか。}
古谷さんは、母親の寺でそんな声を聞いた。近くにいないと聞き取れないようなか細い声。でも、周りに両親や、祖母はいない。
{ここは、どこですか。}
迷っていると、またもそんな声が聞こえた。
「ここは寺よ」
幼き古谷さんは、そう答えた。
{ここは、どこですか。}
問いに述べても、声はやまない。
「ここは寺ですよー!愛知県にある○○寺でーす!」
古谷さんはもう一度質問に答える。
{ここは、どこですか。}
まだ、そんな声がする。語りかけてないのかと思い、古谷さんは返事をしなくなった。
{ここは、どこですか。}
{ここは、どこですか。}
{ここは、どこですか。}
何度も何度も同じ言葉を反復する。古谷さんは声の発信源を探すことにした。
───だが、どこにも見当たらない。
「どこから、声がするんだろう...」
{ここは、どこですか。}
庭の近くも、畳の部屋も、キッチンも全て探した。お風呂だって、トイレだって探した。なのに、どこにも見当たらない。
「気にしないでおこうかな...」
ドスドスと、何かが階段を登るような音がした後、すぐに、{ここは、どこですか。}という声は止んだ。
古谷さんは、階段を登るような音をしたところに行くと、そこには叔父がいた。
「お、古谷さん(本来は下の名前で呼ばれてるのであろうが、名前で)。どうしたの?」
「声が止まったから...」
「あぁ、古谷さんにも聞こえてたんだ。でも、安心して。叔父さんが退治したから」
叔父さんは、屋根裏に登っていた。その後、{ここは、どこですか。}という声はすることはなかった。
一先ず、オータニ先輩と吉田と古谷さんの話は書き終えた。
どれも、印象に残ってる話ばかり。
カヨコさん(吉田の彼女)は未登場だけど、朱雀と似たような立ち位置ですので。