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3話 かたつむり
背中に渦巻がある動物ってなんだ?
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「なぁ、背中に渦巻がある動物ってなにかわかるか?」
いつだったか。俺はオータニ先輩にそんな質問をされた。
「そんなの、『カタツムリ』に決まってるでしょう?」
「まぁ、それも正解だな!」
「それもって、他に答えがあるんですか?」
「あぁ、ある!見たこと無いのか?」
「えぇ、ありませんよ」
「俺はこの前見た!幽霊だった!」
「珍しく、幽霊のことを嬉しそうに語りますね」
「まぁ、珍奇な見た目で、誰かに話したくてウズウズしてたからな!渦だけに?」
「あ、お先に失礼しまーす!」
「ちょ、帰るな!」
***
そして、大学2年生の頃だ。その時の俺は、幽霊が少しばかり見えることが出来るようになっていた。
「なっ...」
道を歩いていると、背中に渦巻き型の模様がある人霊を見た。何の後かは、わからないが、体を抉るほどの大きさがあった。見れば見るほど中に引きずり込まれていくような感覚を覚える。
「先輩は、このことを言っていたのか...」
その日は、雨が降っていた。