10話 外か中か
エタってない。思い出せなかっただけ。
扉。それは、何かと何かの間に作り、それを遮断するものだ。
不可侵の領域というものもあるのかもしれない。
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1話と同じ、始まり方だが今度は別の話だ。
俺の家での話になる。まぁ、至って普通の一般家庭なのだが、それはいいとしよう。
夜、物音がする時がある。どこからか。答えは、外からだ。
では、外に出る。物音はどこから聞こえるか。答えは家の中からだ。
これが、真夜中でも同じだとする。
深夜、外から珍しく音がすると思いベランダに出てみる。だが、もちろん誰もいない。
しかし、物音は家の中から聞こえてくる。
不審に思い、部屋の中に戻る。
すると、音は外からする。窓にピッタリとくっついても、音は外からする。
ベランダに出て、サンダルを履くと、家の中から物音はする。
同じ音。そう、同じ音なのだ。
もちろん、窓に細工なんてものはないし、上階からの音という訳でもない。
その頃、物音の正体はわからなかった。
***
そして、時間は飛び、現在に。
昨日。そう、昨日だ。大学のために一人暮らしをしている俺に、母親から連絡が来た。
「網戸の枠の中から大量に虫の死体が出てきたんだけど、見てよこれ」
そして、網戸を固定するネジ穴から大量の小虫が出てくる動画が、送られてきた。かなりキモかった。送ってこないでほしい。