9話 演劇合宿 前編
数というものは曖昧なものだ。
1+1=2
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高校1年生の夏休みの話だ。
俺が入っていた演劇部には、高校になると夏休みに2泊3日の演劇合宿に行く。
中学演劇部には無かったので、俺は楽しみにしていた。
毎年、演劇合宿では、長野の山奥に行く。(詳しい地名は伏せておく。)
もちろん、避暑の為だ。
おっと、高校演劇部メンバーを説明していなかった。
男は、俺と朱雀、そしてオータニ先輩だ。この3人。
そして、女は12人いる。個性的なメンバーしかいないので、全部語るには時間がかかる。
それに、偽名を考えるのも面倒なので、紹介は省く。
どうせ、後で説明すると思うが、部活メンバーの内、説明されなかった人は大抵女子だ。
P.S.
何分前かの俺へ。偽名は劇での役名を使えばいいぞ。
おフロあがりに耳そうじをするとしめっている。
***
「長野」
「長野」
「実感湧かないよな」
「うん。長野って言われてもね」
新幹線に乗って早2時間。俺達17人(生徒+顧問2人)は、長野駅に到着した。
「珍しく、花浅葱がはしゃいでない。いつも、はしゃいでるのに」
「ホントだ!」
アシュレイと、レイラがはしゃいでいる。もちろん、女子だ。
「ねぇ、どうしたの?2人共テンション低いじゃん!」
「そう?」
「だって、第二東京市が無いんだもん...」
「お前ら、楽しんでおいたほうがいいぞ」
オータニ先輩がキャリーバッグを引きながらやってくる。
「え、どうしてですか?」
「3日目とか、全員死にかけだよ。ソースは去年も来た」
「お、一番濃いソースですね!」
「マヨビームも欲しかった!」
「朱雀、お前は黙っとけ」
俺達は、ホテルから来たバスに乗ってホテルへ移動する。
「いやぁ...楽しみだなぁ!」
「そうだね!」
「ホテル、ホテル!ワクワク!」
「ここが、練習に使う公民館だぞ」
「へぇ...」
こうして、俺達はホテルに到着し、荷物を置いて公民館に行き、演劇の練習を終える。
───ご察しの通り、この物語は幽霊について記述するものだ。だから、何かしら霊が出なければ物語は進まない。そう、幽霊が出たのはそのホテルなのだ。
最初に幽霊を「感じた」のは、1日目の晩ご飯の時であった。
「うへぇ...ビュッフェだぁ!」
部員は15人なので、席は4人席が3つ。3人席が1つになる。もちろん、男子が3人席だ。
マイノリティは辛いぜ!
俺らが食事を楽しんでいると───
「おい、お前らはなんか聞こえないか?」
「はい...得には聞こえませんけど...」
「そうか、じゃあ霊か」
「おぉ!待ってました!」
「1000文字して、ついに来たな!」
「前編、後編に分ける予定だぞ?」
「え、そうなの?」
「あぁ、だからもうすぐ終わる」
「えぇ?じゃあ、今の状態を簡潔に説明してください!」
「えっとだな。俺の耳には今、包丁を研ぐような音が聞こえてる。割とハッキリ聞こえてるから、お前らが聞こえないなら多分霊だ」
「そうなんですか...」
そのまま、俺達は食事を続けた。
霊がいるホテルで、俺達はどうなっちゃうのぉ?次回!不可思議な幽霊の罠に騙される?!