6話 魔法
二人が満足そうにアイスクリームを食べている中、俺は右腕の刻印をじっと見つめていた。
「その刻印普通にのより大きいよなぁ」
「ああ、親父いわく剣の魔力の量に応じて刻印も大きくなるらしいぞ?」
「俺のサンダルフォンの刻印も結構大きいがそれには負けるぜ」
「てかさ、あの二人見てるとあいつ思い出さないか?」
「あー、たしかにな。クルシアとエリシアがいつもあーやって食べ合いっこしてたけ」
「ああ、」
クルシアとは、エリシアの今は亡き姉である。
彼女は、人々から愛され遠い国から誘いを受けるほどの美しさだったがある日を栄に彼女は消息を経った。
それからというもの唯一の支えだった姉を無くしたエリシアは、部屋から半年以上出てこなくなったのである。
あ、そういえばあれ買ってあげないとな。
「わりぃけどあの二人見ててくれるか?」
「急にどうしたんだ? 買い忘れかなんかか?」
「まぁそんなとこだ。頼んだぞ〜。」
そう言ってガルバートに彼女達を見ていてもらい、俺は今朝二人が話していたリボンを買いに行くことにした。
「えーと、確かの辺にあ、あった」
ベルリンゼという店を見つけると扉を開けて中に入り、辺りに一通り見て目的のリボンを見つけると店員さんがはかしかけてきた。
「今日はどうなさいましたか?」
「あー、いえこれを買いに来ただけなので」
店員さんに赤いリボンと黒いリボンを見せた。
「プレゼントですか?」
「まぁ一応、外は普通の袋にして中の箱だけプレゼントの紙にしてくれますか?」
「サプライズですね。分かりました。合計で金貨1枚になります。」
金貨一枚を渡すと店員さんが包み終わった袋を渡してきた。
袋を受け取り商品棚の間を通り抜けて扉から外に出た。
皆がいる場所に戻ると、後ろからソフィが抱きついてきた。
「どこ行ってたの?」
「買い出しだけど…」
「ふーん。そっか」
背中から離れたソフィは袋をじっと見つめ怪しくい事を確認した。
「おー、いたいた探したぞ〜ー」
目の前から猛ダッシュで手を振りながら親父が走ってきた。
「何しに来たし」
「いや、心配だったから来てみただけだが。というか姫様はどこいったんじゃ?」
「そういえば、たしかに…」
「お前が着いていながら珍しいなぁ」
「エリシアならガルとどっか行ったよ?」
「マジか〜。見とけて言ったのに…」
「私が行かないて、言ったから仕方ないよ」
「なるほどなぁ」
三十分ほど待っているが誰も来ない。
さすがに遅すぎね? なぜか親父も待ってるし
「遅いなぁ〜。先に帰ってしまったのかの」
「それは無いな、あったとしてもソフィになんも言わずにどっか行くなんてありえないし」
「たしかに、心配だから少し辺りを見てくるわ」
その後、三時間経っても誰も帰って来なくなってしまい、さすがにまずいと思い始めた。
あたりは真っ暗闇になり二つの月が夜空を照らしていた。
「ふ〜ん。マスターちゃん案外可愛いかも」
「どちら様ですか?」
着てる服はソフィだが、体格が全く別物になっており誰もが魅了するかのような美貌になっていた。
「酷いなぁ〜。さっき抱きしめてあげたのに…」
「う〜ん。お姉さんのような人に抱きしめられたら忘れないと思うんですが…」
すると、身長が徐々に低くなっていきいつものソフィに戻った。
「むー。これでも分からないの!」
「なんでそうなったんだ…」
「え、魔法」
「魔法て…。この世界に転移装置以外の魔法なんかないぞ?」
「あ〜そっか、人族にはそれしか受け継がれてないもんね」
てかと、ソフィ
「反応薄くない? なんでこっちの姿だと喜んだかのような笑顔になるの?」
「うーん。そんなに美貌には興味無いかな〜。なーんて」
「もう! てか、さっき魔法使って当たり一体サーチしてみたけど捕まってるみたいだよ?」
「は? 誰が」
「エリシアとガル」
「え? マジ?」
「マジマジ」
ここまで読んでくれてありがとうございます!
・プレゼント買いに行く
・エリシアとガルが行方不明