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第4話 異世界へやってきた

  本当に異世界転生したのか?



  突然、森の中で意識を取り戻りたおれは考える。


  つい先程まで有名動画配信者を目指していたおれ。

  だが、あっけなく死んで気づいたらバルスとかいうジジィの元にいた。



  全部おれが見ていた夢だということも考えられる。

  イノシシに襲われて気を失い、今目覚めたのだ!

  イノシシに殺されたことも、神様たちの世界に行ったことも、転生することになったことも全部夢だった!

  そう考えれば楽になれる。

 


  だが、それを否定するかのようにおれの右手にはジジィから受け取った剣が確かに握られていた……。



  うーん。

  やっぱ、あれは夢じゃなかったんだよな。



  ジジィのやつ、スキルのおかげで剣の腕前が上がっているからこの世界ではモテモテのハーレムみたいことを言っていたが、本当におれは強くなったのか?


  剣の腕前って、つまり剣道初段みたいもんか?

  おれは剣道なんてやったことがないし、剣道が強くてもモテるなんて全然思えないんだがな……。



  そんなことを考えておれは森を歩く。


 

  ぐぅ〜



  静かな森におれの腹の音が響く。

  そこでおれは気づいた。



  「おい! 食いものはどうすんだよ!?」



  ジジィのやつ、剣を一本だけ与えやがって他には何も渡さなかった。


  食料もなければ着替えもない!


  いや、それよりスマホない!


  これからおれはどうやって女の子たちと連絡をとったらいいんだよ!

  おれの異世界イチャコラ生活が〜!!



  おれはこれから異世界で生活すること以上に彼女を作った後のことを考えはじめる。


  そんな風に絶望していると余計に腹が減る。


  というより、おれは一度死んだってことは今のこの体は新しく作ったってことだよな?

  つまり、胃の中には何もないってことじゃないか!


  あのハゲジジィ……おれをまた殺す気なのか?

  もし次に会ったらぶち殺してやる……。



  おれはジジィへの復讐を決意し、森の中を歩き続ける。


  花も草も木も、地球のものとそれほど変わらない気がする。

  だが、何が食べられるかわからないし、こんなもの食いたくない。


  肉だ。

  肉が食いたい……。



  「牛肉だ。焼肉が食いたい……。なんなら豚肉でも我慢してやる……」



  おれはゾンビのような歩き方でぶつぶつと言いながら歩く。


  もう、腹が減った。


  何か食わせてくれ……。



  そんな風に歩いていると、突如悲鳴が聞こえた。



  「きゃぁぁぁぁああああ!!!!」



  女の悲鳴だ。

  ここから近い。


  おれは右手に持った剣を見つめる。


  ハゲジジィの話が本当なら、おれは『剣王』とやらになれるほどの実力者だ。


  ここで困っている女を助ければ簡単に一目惚れしてくれるに違いない。

  これはおれが彼女を作るために神様たちが与えてくれた運命の出会いかもしれない。



  よし、とりあえず悲鳴が聞こえてきた方に向かい、困っている子が可愛かったら助けよう!


  ブスなら放置だな。

  いや、ブスなら食いものを巻き上げればいいのか。


  とりあえずおれは生きていかなきゃならないんだ。

  助けたお礼に食料や金を引き渡すのは当然の礼儀だ。


  それができなければ可愛い女友だちを紹介してもらうか。

  それさえできなければブスは召使いにしよう。

  とにかくおれの役に立ててやる!



  ーーマサトは正真正銘のクズだったーー



  そして、おれは悲鳴が聞こえてきた方へと駆け出す。


  おぉ!

  速い速い!


  おれってこんなに足が速かったっけ?

  もしかして、ハゲジジィが言ってたスキルっていうのは本当なのかもしれないな。



  そして、風のように駆け抜けたおれは悲鳴をあげたであろう女の元へとやってくる。


  すると、おれの目の前には貧相な格好をした女とバカでかいイノシシが見えた。


  状況からするに、あの女がイノシシに遭遇したということだろう。

  いや、それより女の顔が見えねぇ!



  「おい、こっちに面を見せろ!」


 

  おれは女に向かって叫ぶ。


  だが、女はイノシシ怯えてしまってうつむいてしまう。


  やべぇ、このままじゃ女が死んじまう。


  やる気はあまり出ないけど、とりあえず助けてやるか!



  「シネ……クソヤロー!!!!」



  おれは地面をおもいきり蹴ってイノシシの元へ飛び込む。


  そして、全力で剣を振るった。



  ンヒィィィィイイイイ〜



  すると、イノシシの体がまるでゼリーかのようにスルッと斬れた。



  ドスンッ!!



  イノシシは血を吐いて倒れる。



  「お前に罪はまったくないが、おれはその姿にはちょいと因縁があるんだ」



  おれは斬ったイノシシに向かってぶつぶつとつぶやく。


  おれはイノシシに一回殺されたからな。

  だが、お前の命に免じてこれでチャラにしてやる。


  その代わり……。



  今度こそ、おれの愛のキューピットになりやがれ!



  おれは助けた女の所へ向かう。



  「おい、もう大丈夫だ。安心していいぞ」



  いつもより少しばかり低い声で話しかける。


  第一印象は大切だ。

  これで9割決まるとネットにも書いてあった。

  それに、女は低い声が好きだって書いてあったからな。



  「あっ……ありがとうございます!」



  女は近づいたおれの胸に飛び込む。

  そして、しっかりと背中に手を回してガッチリホールド。



  おい!

  おれはまだお前の顔を拝んでないんだ!

  これでブスだったら殺すぞ!



  おれは口にこそ出さないが心の中でそう叫ぶ。



  「ほんとうに……ありがとう」



  すると、女は顔をあげておれを見つめる。



  この時、おれは時速100キロでトラックが突っ込んできたくらいの衝撃を受けた……。



  おれの目の前にあったのは小顔で色白の女の顔。

  化粧なんてしていないスッピンの素顔。


  色気こそはないが、まるで女優さんのような可愛い顔だ。

  それがおれの腕に抱かれて顔と顔までの距離は30センチもない。



  おれの狭い! 狭い!

  針の穴くらい狭いストライクゾーンに直球ど真ん中!!



  神様、やっぱりおれ……ハーレムなんていりません。


  この子におれの全てを捧げようと思います。


  神様、おれを転生させてくれてありがとうございます。

  それと、ハゲジジィなんて言ってごめんなさい。



  これからおれは、異世界リア充生活をはじめようと思います。



  こうして、おれは女優さんのような美少女と運命的な出会いを果たしたのであった。

マサト「よし、今回からはおれがこの余白でモテる男のテクニックを教えてやるぜ!」


作者「あっ、あの……。マサトさん? それはちょっとやめていただきたいのですが……。(読者の方に何も有益な事伝えられないもん、この人!)」


マサト「あぁ? 誰だお前は?」


作者「えっと……自分はですね」


マサト「なんだ? ハッキリしろ! おれはな、お前みたいなナヨナヨした男が嫌いなんだよ!」


(ボコッ! ボコッ!)


マサト「あれ? もう時間か……。それじゃあ、次回予告だ! 次回から、ついにおれのリア充生活がはじまるぞ!」


作者「(あれ、次回ってそんな展開だっけ……?)」


マサト「それじゃ、楽しみにしてろよな!」

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