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無事に文化祭当日を迎えて、ロミオ役の透に直接髪飾りを渡す事ができてほっとした。
劇が終わったあとは、いつもの4人で文化祭をまわって、あっという間に後夜祭。
後夜祭に告白する人も多いようで、私以外の3人は呼び出し中。
どーせ、私はモテませんよ。
屋上からグランド見えたはずだし、屋上にでも行ってみようかな〜。
メッセージ送ってれば問題ないよね。
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うーーん。屋上からのグランドはみんな小さいし、暗いし全然誰が誰だか分からないや。
早くみんな来ないかな〜。
「あれ?沙奈1人??」
「やっときたー!司以外のみんなまだ呼び出しされてるんだよ!」
「こんな時に告白ってなんなんだろな。文化祭マジック?お前は誰からもされなかったの?」
「そーです。どうせ私は莉央みたいに可愛くもないし、身長も高いしモテませんよ」
「ひがんでる、ひがんでる。まぁ俺も告白されたからって誰かと付き合うなんて絶対ないけどなぁ」
「女の子とよく遊んでる人がよく言うよ」
「遊ぶのは楽しいけど、付き合うのは違う。っていうか好きって感情すらわかんねーし」
「へぇー。意外。そんな事考えてるんだね。思ったより真面目君?」
「真面目というか、俺さ片親って話はちらっとしてたじゃん?親、若くしての恋愛結婚ですぐ俺が産まれたの」
あまり自分の事を話さない司がめずらしい。
これも文化祭マジック?
「んで、俺が産まれた後、父親は浮気。母親も男遊びばかりで2歳の時には離婚してたと思う。記憶あんまないけど。母親は家の事とかはしてくれるけど、俺に対して無関心でさ。運動会とか参観日なんて来たこともないし、夜になれば知らない男が遊びに来てた。だから俺は好きって言われてもその場のノリでしか思えないんだよね。遊んでる女の子とも体の関係なんてもったことないし」
「そうだったんだ。ごめん。正直女の子とめっちゃ遊んでヤリまくってると思ってた」
「沙奈のそーゆー正直なとこ良いと思う」
笑いながらそう返事をした司は少し寂しそうにも見えた。もしかしたら私たちは似ているのかもしれないと思った。
「だからロミオとジュリエットも嫌いって言ったの?」
「そうそう。親が親なだけに、一生あなたを思いつづけます〜なんて想像つかない。国結婚なら決められた相手だし、きっとそれなりに価値観も一緒だろうから俺からしたらまだ信用性のある結婚なんだよね」
「そんな考えしてたなんて、全く知らなかった。ただのチャラくて良い奴って認識から意外と真面目君に変わったよ」
「ふはっ。俺真面目君なの?透の方が真面目君だと思うけど!とりあえずこの話はあの二人には言わないで?文化祭マジックで言いたくなっただけだから」
文化祭マジックって同じこと言ってるし。
司にもいろいろあるんだな
でもなんか強いな司は。
私も強くなりたいな。