6
神官様の名前を変更しました。
名前は難しいですね
なくなったのは、腹の肉だけなのか?
いや、腹の肉がなくなったのは大問題だが……
だって、さすがの○飛の○丸くんみたく、この、体型で機敏に動けるのに憧れていたんだから。
そっといろいろな部位に触れてみる。
腕……たぷたぷである。よし。
(尻……尻……尻ッ! なんだか固くてしまってるよ! むっちりしてたよね!? わたしのおしり〜〜)
あちこち確かめて、いろんな事実が判明してきたときだった。
「ご婦人……ごふっ」
拳に衝撃を感じると同時に床を何かが転がっていく。
「え?」
喧騒が嘘のように静寂となり、全ての視線が転がっていった何かへと集まり、みゆきへと移った。
「あ……」
「おいっ! どうしたんだ⁈ 」
転がった騎士に、ふたりの騎士が駆け寄り、愕然としてみゆきを見た。
「意識がないぞ!」
「貴様ッ! 何をしたッ」
「毒かッ⁉︎」
白とクリーム色と金色で統一された軍服を着た屈強な男たちが一斉に駆け寄ってくる。
女子高生が小さな悲鳴をあげた。高校生たちのと間に溝のような空間ができて、ぽつんと立ち尽くすみゆきと腕の中のふたば。仕方がないので答えてみる。
「いきなり背後に立たれたので……」
ぶふぉっと男子高校生が噴き出した。
あ、この子ゴル○知ってる? 頭の片隅で嬉しくなるみゆきだったが、表情はかわらず囲んだ騎士達を見上げた。
(どうみても、外人さんだよね)
2メートル近いであろう男達が剣に手を伸ばしている。騎士A 騎士B 騎士C……………倒れている騎士J まで10人が瞬時に視界に入り、一挙一動が手に取るようにわかる自分の不自然さにみゆきは気付いていなかった。
「ご婦人。今、何をされたのです?」
冷静さを取り戻したのか、言葉遣いが丁寧に戻っている。
「……すみません、体が勝手に動いてしまって…… お許しください」
前屈みに犬を抱えて、怯えるように謝ってみるが、騎士の怒りは治らないようだ。
「何をされたのかと聞いているッ 鑑定せよ!」
「シルーシス殿ッ!」
クレーディトの諌める声も届かないのか、シルーシスと呼ばれた騎士Eはみゆきの頭上を凝視している。
「……何もないではないか!? 何もない人間が、何故ここにいる? クレーディト殿、ご説明ください」
(何もない?)
天使(見習い)さんはやはり筋肉以外、くれなかったのか。まあ、見習いだし、そうそう都合よくいかないよね。ふたばが若返っただけありがたいわ。感謝せねば。
しかし、つい、吹っ飛ばしたあの人には悪いことしたな。ゴル○並みの戦闘力の上に、習性までくださるとは、ありがたいのか、迷惑なのかわからんな。
反射神経とか、今まで生きてきて使ったことなかった気がするけど、体が勝手に動くって……ちょっと気持ちイイかも〜〜 でもやられた方は痛そうだよね。気の毒なことしちゃったな……ゴル○の背後に立つってのはああいうことなんだなぁ。気をつけないとね!
ハッ! 天使(見習い)さん、回復魔法も忘れちゃったんだろうか? それは困るわ〜
「何もない、とはどういうことかね? クレーディトよ 、私にも説明してもらえぬか?」
「フォンス王……」
王様登場であった。