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いろいろ模索しております。
名前等、変更していくかも知れません。
(まだ登場もしていないのに……)
そしてやはり……神官さんの名前が変わりました。
次に立っていたのは、だだっ広い部屋の中だった。
いや、大広間というか、神殿というか…
きらびやかな衣装を身につけた年配の男性陣に、これまたキラキラしたドレスを着た女性が数人で、制服を着た高校生達と対峙していた。
(おぉ! コレがホントの召喚陣)
足元の円陣は緻密な文字が書いてある。
細かいが、文字が頭の中に語りかけるように入って来る。
(すごい! 全言語マスター! こんな文字まで読めるなんて。眉唾だったけど、ほんとだったのか! 疑ってごめんなさい。見習い天使様)
円陣端で床を見ながら一人で興奮するみゆきを、誰も見ていなかった。
「すばらしい!」
「この方々のステータスはどれも期待以上だぞ!」
「どこ?ここ…」
「なんだよ? どうなってるんだ?」
「あんた達、誰だよ?」
不思議なことに転移はたった今、起こったようだった。高校生達はパニックである。天使による事前説明はなかったようだ。
「皆様、どうぞお鎮まりください
私は 神官長のクレーディトと申します」
小柄だが、威厳のある、白髪白髭のお爺さんが、よく通る声で話しを始めた。
さすが、小中高の一貫教育の生徒達だ。目上の人の話はきちんと聞くらしい。
うんうんと感心するみゆき。
腕の中のビーグル犬は目を開けているが、大人しい。心なしか、軽く…あれ?色合いが濃くなってないか?ふた回りほど小さい気もする。目を覗き込むと、年を取り、白内障になっていた瞳が黒々と輝いている。何より顔が、いや、これ仔犬じゃん!? 確かにふたばだけれども…サービス? サービスなのか?
叫び出さなかった自分を褒めてあげたい。
遠のきかけた意識を手繰りよせながら、お爺様の声に集中する。
「ここは、皆様方からすると、異世界と呼ばれるところでございます」
「異世界!?」
それを皮切りに、一斉に騒ぎが始まった。それはそうだろう。信じられないだろうし、信じたくもないだろうし。本当なら人生がおじゃんになった気になるよね、きっと。
(しかしこりゃ何回も召喚やってるな。異世界ときたか…次は魔法でも使って見せるのかな)
高校生は11人。11人いる!ってあったなぁ。
男の子8人に女の子3人。全員後ろ姿しか見えないのでどんな顔かもわからないけれど、皆さん背も高く、シュッとしている。いずれにせよ、ぽっちゃりはみゆきだけであった。
(…腕立てできるようになったのか、試したいわ〜〜)
死んでしまったらしい自分は帰る場所もないので、文句を言う気もないが、召喚された子供達は今までやってきた努力が無駄になってしまうかも知れないのだから、納得するまでにかなりの時間を要するだろう。
いや、納得などできないだろうなぁ。家族や大切な人もたくさんいるだろうし…失ったものが大きすぎる。
(あれ?)
自分の体に違和感を感じたみゆきは、片手でふたばを抱えたまま、そっと腹を触ってみた。
……肉がない。
30年以上続けている筋金入りのダイエッターみゆきの、難攻不落だった、いや、数年前に糖質オフをした時だけなりを潜めてくださった腹の肉が…なくなっていた。
(どこ行った!?)
意外と愛着があった、座ると肘にあたるくらい存在感があったアレが……どこにもなかった。
(どこ行った!? 肉〜)
声にならない叫びは、もちろん誰にも届くことはなかったのだった。
ライオネル爺様ごめんなさい……